インタビュー

Nelly

掲載: 2004年09月09日 16:00

更新: 2004年09月24日 19:38

ポップ・ミュージックの世界王座にいよいよ手をかけるネリー。周到なプランと大胆なアイデアの下で送り出すニュー・アルバムは何と2枚同時……『Sweat』と『Suit』、どっちを先に着ればいいのか、これは嬉しい悲鳴だ!! 

ヒップホップをNo.1にしたい


  ヒップホップがエンターテイメントの世界を彩る必要不可欠な産業となってから、NY、LAという二極のみで語られるヒップホップの時代は完全に終わりを迎えた。ご存知のように、いまや全米規模での(ふだんヒップホップのみを聴く習慣のない層をも巻きこんで、という意味での)大ヒットを記録するのはもはや特定地域のアーティストだけではない。それまでマークされていなかった土地から突然スターが現われたり、デビュー作でいきなりブレイクすることも珍しいことではなくなった。

 そして、ネリーほどこうした現象を体現し、シーン全体に大きな影響を与えてきたラッパーはいないのではないか。デビュー曲“Country Grammer(Hot Shit)”が大ヒットした2000年、誰が現在の彼の姿を予想できただろう。デビュー当時、シーンにおいては偏境の地として見向きもされなかったセントルイスという地を認知させ、その後ここからセント・ルナティックス(アリ、マーフィ・リーもソロ・デビュー)、チンギーなどが続き、チャートを席巻するほどのブレイクを果たした事実はネリーの登場が引き金となったと見ていいだろう。

  「こういうのは決まってるというか、どのジェネレーションも通る道だからね。例えばギャングスタ・ラップが最初に出てきた時は皆がビビっていたし、〈ヒップホップは終わりだ〉とか言われていたのをいまだに覚えているよ。何かを得るためにはスパートをかけなきゃいけないし、昔を振り返ってみればギャングスタ・ラップだってオレたちの歴史の大きな一部になってると思うんだよね。オレは賭けに出ることを恐れないアーティストが好きで、アウトキャストやミッシー・エリオットなんか大好きで……彼らは間違いなくパイオニアだし、他にも好きなアーティストはたくさんいる。ファレル、ネプチューンズも、みんなヒップホップを新しいジェネレーションに持っていこうとしている人たちだよね。オレも絶対にヒップホップをNo.1の音楽にしたいし、そうするためには他のどんな音楽にも関わっていかないといけないし、あともう少しで達成できると思うんだ」。

 新しいものを開拓する──この精神が、今作でもネリーらしいアイデアを形にした。なんと2枚のニュー・アルバムを同時にリリースするのである。『Sweat』と『Suit』とそれぞれ名付けられたアルバムには、どんな違いがあって、この試みそのものが意図することは何なのだろう。

「まず、同じ日に2枚のアルバムをドロップしようと決めた理由は、他の連中とは違う何かをしたかったからなんだ。オレはいままでもフレッシュなモノを出してきたし、これはイイ!と思ってね。で、このアイデアが浮かんできて試しにやってみたんだ。まずは本当にできるかどうかってね。それでレーベルにこの件を提案したら、メリットとデメリットを挙げられて、結局はオレ次第ってことになった。じゃあ、やっぱりオレはやりたいと思って。ちなみにこの2枚をいっしょにすれば〈スウェット・スーツ〉になるんだ。『Suit』のほうは落ち着いていて大人で、ちょっとセクシーな感じ。チルできるヴァイブもあるし、イイ感じでメロウかな。『Sweat』のほうはもっとアップテンポでフロア向けだし、ストリートな感じさ。みんなが両方のプロジェクトをサポートしてくれたらいいなと思ってるよ」。

▼『Sweat』に参加したアーティストの作品を一部紹介

カテゴリ : インタビューファイル

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/高橋 荒太郎