京都在住の電子音楽家は個性派揃い!!
サークル・オブ・フレンズが存在するわけではなさそうですが……京都にはレイ・ハラカミ以外にも実力派の電子音楽家たちが点在している様子。ここでは、なかでも優良盤を発信している個性的な面々をご紹介します。*編集部
オトグラフ 『SOUNDS IN MOTION』涼音堂茶舗(2006)
井浦崇と大島幸代の映像/音楽プロジェクトが、京都(と東京・吉祥寺)発のエレクトロニカ・レーベル、涼音堂茶舗より発表した2作目。レイ・ハラカミやコーネリアスに通じるクリアな電子音響のなかに、大胆なカットアップ・ビートを注ぎ込んだサウンドからは、ほのかなファンクネスが浮かび上がる。チルとダンスの狭間で楽しませてくれる逸品です。*澤田
PsysEx 『psx_vi』Underground Gallery(2008)
京都で孤高の音響実験を繰り広げる糸魚健一ソロ・ユニットの4作目。徹底的に無機質な電子音だけを配し、グルーヴィーな躍動感を拒否しながらも、ギリギリのところでファンクを成立させている。エレクトロニカにもクリック・ハウスにも回収されない、ワン・アンド・オンリーな個性を漲らせた野心作。*澤田
snoweffect 『invisible gardens』涼音堂茶舗(2007)
涼音堂茶舗の主宰者、星憲一朗をメンバーに含む3人組ユニットの3作目。エレクトロニカやアンビエントの要素を基軸に置きつつも、YMO周辺の80年代テクノ・ポップにも通じるアーバン感を随所に採り入れることで、これまで以上に鮮やかなポップネスを獲得しています。朝焼けのような眩さを持った“joy_toy”が特に秀逸。*北野
高木正勝 『Private/Public』Pヴァイン(2007)
UAや高田漣など、10人のミュージシャンを迎えたソロ公演の模様を収録。電子音楽を足がかりにジャンルレスかつポップな越境を見せる彼の楽曲を、ピアノやストリングス、ヴォーカルなど、完全に生のアンサンブルで披露。高木作品に通底する室内楽的な魅力を見事に引き出してみせた一枚です。*澤田
竹村延和 『kobito no kuni』ムーンリット(2007)
ピュアな音楽家が集うレーベル=Childiscの運営や、映像作家としての活動でも知られる才人による、1999年までの未発表インスト曲をまとめた珠玉の音源集。複雑なメロディーの楽曲や10分以上ものミニマル・トラックを、純粋無垢で美しい音楽として成立させてしまうバランス感覚はもはや奇跡的です! *北野
midori hirano 『klo:yuri』noble(2008)
音響系以降を感じさせる〈ポスト・クラシカル〉なサウンドで注目を集めた女性音楽家による2作目。クラシックと電子音楽の甘やかな邂逅が織り成すファンタジックな音世界は、ホーリーなエコー感を湛えた彼女自身の歌声が加わることによって、さらにイマジネーション溢れるものへと昇華されています。教会のような響きも味わえる一枚。*北野
RUBYOLA 『Samplin Somethin』MOROHEIYA(2004)
電子音楽+雅楽なバンド=Harp On Mouth Sextetでの活動も記憶に新しい奇才の初アルバム。重心の低いヒップホップ・ビートの上で、OORUTAICHIの歌やイルリメのラップを含む、カオティックな音の断片が次々とコラージュされて行く。どこまでもアブストラクトなサウンドながら親しみやすさも兼ね備えた、なんとも不思議なポップ盤。*澤田
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