COMA-CHI(2)
初めて作った曲のテーマは〈東京ガールズ〉
――『LOVE ME PLEASE!』もそのなかの一つってことか。
COMA-CHI 私はいろいろ吸収して、自分のフィルターを通して自分なりに表現していくことがヒップホップだと思うし、恋愛について歌ったらすごいおもしろいなって。こういうスタイルで恋愛のことばっかりラップしてるものがないから。他と同じことやっててもつまんないし、新しいことをするのがいいと思ってやってる。いまのヒップホップ・シーンのなかにいる人で、他と全然違うことをやってる人もいっぱいいるけど、囚われてる人もけっこう多い。〈ヒップホップはこうだ〉ってカテゴライズしてる人には、囚われすぎておもしろいことができてない人も多いかなって。
――そう考えると、ヒップホップって、囚われる要素がなんて多いだろう?って思うこともあるよね。
COMA-CHI 例えば、〈シーンでいまこれが流行ってたら、こういうスタイルでしょ?〉みたいな、価値観までそれに染められちゃうような人が多すぎる。とにかくそれはそれ、これはこれっていろいろ聴いて、自分なりのスタイルを作っていったほうがいいんじゃないかなと思う。私もそこは課題ですね。
――なるほどね。じゃあ新作の話に移るけど、今回は過去の客演曲がアルバムの大半を占める大きな要素でもあって。
COMA-CHI KREVAさん以外の客演は呼んでもらった作品を持ってきてここに入れてるんで、客演モノで恋愛の曲がけっこうあったっていうのがまず一つ。それとオリジナルを合わせるのもおもしろいかなって感じなんですけど。
――そのKREVAさんとの曲は“1 on 1”。
COMA-CHI ラップで恋愛の曲を作る時に、男の人とガチでラップし合いたいっていうのがすごいあった。それで誰がいいかなって考えた時に、レーベルもいっしょだし、カッコいいヒップホップのままでポピュラリティーを獲得してるKREVAさんみたいな人はすごい目標でもあるんで、いっしょに仕事してみたいなと思って。
――もともと面識はあったんだよね?
COMA-CHI もちろん。SONOMIちゃんちゃんには客演させてもらってるし、熊井(吾郎)は私の制作もやってもらってるし。あとKREVAさんは、“Me And My Kicks”のリミックスも勝手にやってくれたりとか現場で会ったりとか、けっこう絡みはあります。
――“LOVE @ 1st Sight”で共演した青山テルマさん、“Instinct”での川畑 要(CHEMISTRY)さんとのデュエットはそれぞれどうだった?
COMA-CHI (青山)テルマちゃんはホントいい声で、可愛らしい女の子の良さがあって、私のアグレッシヴな感じといい対比でマッチしたなと思う。(川畑)要くんも男性R&Bシンガーとやるのは初めてだったんで、甘ーい感じのハーモニーはすごくいいなと思った。また男性シンガーとやってみたいなとはすごい思いました。
――PUSHIMさんの“HEY BOY”のリミックス“HEY BOY, HEY GIRL”はレゲエのリディムに乗った初めての曲だそうだけど。歌詞の内容もいちばんあけすけで。
COMA-CHI 難しかったですよ。しかもその曲はいろんなオーダーがあったし、PUSHIMさんがエグいのがお好きだってんで。
――初めてといえば、今回はタイトル曲をみずからトラック制作したことも。
COMA-CHI (ローランドの)ファントムっていう機材を買ったんですけど、そんなかでシーケンスまで組めるんで、打ち込みでシコシコ作りました。この曲が初めて作った曲ですね(笑)。
――作ったのも初めてなの? 初めてでこれだけ作れちゃうんだ。
COMA-CHI そう(笑)。最初に作って、ビートを聴きながら後で作り直して。いきなりパッてできたわけじゃないですけど、わりかしスッと出来ました。
――楽器は元々やるんだっけ?
COMA-CHI いや、そんなやんないですけど。『RED NAKED』を作った時に、トラックメイカーといっしょに作業しながら〈この音いらない〉とか〈これ足そう〉とかいろいろやってたから、これをまず入れて、次これ入れて、とかっていうノウハウはあって。あとは機材の扱い方だけ本を見ながら。
――仕上がりはイメージ通り?
COMA-CHI とりあえず、今回は〈東京ガールズ〉っていうのがテーマなんですよ。で、東京のイケてるファッション、イケてる女の子たちのキラキラした感じっていうのを表現したいなと思ったんですけど、特にこういうのとかっていうのはなくて。こういうメロディーがいいかな、こういうビートがいいかなって作ってくうちにだんだんこうなって。
――初めて作ったトラックとは思えないね。
COMA-CHI 本で機材の使い方を見ながらチョコチョコやるのがめんどくさかったけど(笑)。でも、私のめざす世界観みたいなものに一歩近づけたかな。すごいヒップホップなんだけど、ちょっと機械的な要素っていうか、テクノっぽい要素、渋谷系みたいな要素も入りつつのヒップホップ、うまく言えないけど、東京ガールズ的な世界観に近付けた。
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