Riddim Saunter
ハウスやヒップホップを採り入れたグルーヴィーなサウンドで東京の夜を華やかに彩る5人組、Riddim Saunter。生ストリングスの導入から派生したというニュー・アルバム『Days Lead』は、新感覚のネオアコ作品とも言えるような爽快さに貫かれた仕上がりだ。初の海外ライヴ/レコーディングを敢行し、CDとジャケットの別売りを提案するなど新しい地平を開拓し続ける彼らのなかから、今回はヴォーカルのKEISHIとドラムスのTAICHIの2人に語ってもらった。
ストリングスといっしょに僕らのいちばんいいところを押し出そうと
――2年ぶりのサード・アルバム『Days Lead』は、12曲中8曲にストリングスが入った、かなり爽快な作品になりましたね。
TAICHI「生のストリングスの他にも新しくやりたいことがいっぱいあって、それが重なって出来たアルバムです。まず、僕にやりたいことがないと制作が進まないんですけど(笑)、ストリングスを使ったり、アコースティックっぽいものを派手にやる、っていう今回のテーマが決まったのが今年の初めくらい。これまでもストリングスは入れてたけど、1人で重ねたものだったので、今回はライヴでサポートしてくれてる人たちとやりたいな、それならアナログ・レコーディングのほうがいいな、ってだんだんイメージが繋がっていったんです」
――ある意味、ストリングスから派生したアルバムってことですね。
TAICHI「今回に関しては、こういう音楽性にしたかったんです。ストリングスといっしょに僕らのいちばんいいところを上手く押し出そうと思って、バロック調を採り入れたり。でも、そこまで辿り着くのが大変でした。参考にする曲もなかったし(笑)」
――このアルバムは、キネマ倶楽部のライヴで最初に曲を披露したそうですが、そのアイデアはどこから?
TAICHI「2部構成のライヴをやりたかったんです。1部では座って聴くアコースティックなライヴをやって、2部では普通にスタンディングのライヴをやろうと。でも、アコースティック盤『DOUSE YOURS FROM ACOUSTIC RECOLLECTIO』のツアーが終わったところだったから、新曲をやろうかって話になって」
KEISHI「新曲だけのライヴはやったことなかったし、おもしろそうだなって。ただ、曲が出来る前にライヴが決まってたから、それまでがかなり大変でした(笑)」
――ライヴまでに曲を仕上げて、それからレコーディングに入ったと。
TAICHI「5月のキネマ倶楽部の後、まずはUKツアーに行って、その後ノルウェーにレコーディングに行ったんです」
――UKツアーはどうでした?
KEISHI「海外でのライヴは初だったし、自分たちの楽しさがモチベーションに繋がるから、いいライヴができたと思います。リアクションも良くて自信にもなったし、その後のレコーディングにもいい影響があったんじゃないかな」
――ノルウェーで録ろうと思ったきっかけは。
TAICHI「ソンドレ・ラルケの影響と、ロイヤリティーズと対バンしたことが大きかったですね。いわゆるオーケストラル・ポップみたいな、ストリングスやホーンが入ったカラフルな音っていう彼らの音楽性が、僕らのやりたいことにすごく近かったんです。あとは、ソンドレ周りのアーティストでも好きな音楽が多かったし……キングス・オブ・コンビニエンス、アーランド・オイエとか、ベルゲンのアーティストの空気感が好きで。ロンドンでライヴするのが決まってたから、じゃあ行っちゃおうって(笑)」
――では、アルバムの柱になるような曲というと。
TAICHI「いちばん最初に出来たのは“Waltz of The Twins”。アコースティック盤みたいな曲をやりたくて、出来た曲です。でも、曲調はアルバムの最後のほうの曲っぽいなと思って……1曲目をどうしよう?ってことで、“Sweet & Still”が出来て。そこらへんから、アルバムの全体像がなんとなく出来てった感じですね」
KEISHI「僕ら毎回、1曲目が出来ないと集中して他の曲を制作することができないんですよ(笑)」
――頭が出来ないと、他がぼやけちゃうと。
TAICHI「そうなんです。でも、それが出来るまでがけっこう長くて(笑)。いままで聴いたことがある感じだとダメだと思っちゃうし、あまりソウルっぽくなるのも嫌だなと思ってた時期だったし。“Sweet & Still”のフルートのメロディーがいままでの僕らになかったクラシカルな感じで、ちょっと新しいかもしれないなって思ったのがけっこう大きかったですね」
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