インタビュー

Riddim Saunter 『Days Lead』 Niw!



  Riddim Saunterのニュー・アルバム『Days Lead』を聴いて最初に思い出したのがフリッパーズ・ギターのファースト・アルバム『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった~』だったりしたのは、きっと俺がオヤジだからなんだろうけど、この胸がいっぱいになってどうしようもなくなってしまう空気感は久しぶりなんだからしょうがない。

 80年代後半の東京の地下シーンにおける新しい動きを、冴えた若者の感性で表現したのが〈three cheers for our side〉であったのは疑いようがないが、『Days Lead』からはやはり同様のバックボーンが匂い立つ。ここには、いまの東京の地下で遊び尽くす貪欲な若者たちの瑞々しい感性が、時に過激に、時にチャーミングに、時にシリアスに焼き付けられている。

 ネオアコをはじめ、サイケ・トロピカル・チューン、パンク、ソウル・ミュージックなどさまざまな意匠をミックスした才気漲るアレンジと、その真ん中を貫く甘酸っぱくも昂揚感溢れるメロディー。Riddim Saunterのサウンドには鮮烈なまでに新しい感覚が宿っている。そこにはメジャー・シーンの裏側で確かに胎動しているリアルなDIY精神があり、フリッパーズがそうしたように、Riddim Saunterはこれまで表面化していなかった東京のユース・カルチャーを体現する若者たちの内面と、最新のモードを活き活きと描写する。これは2009年屈指のハイブリッド・ポップ・アルバムであり、永遠に色褪せることのない記念碑的名盤である。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年10月14日 18:00

更新: 2009年10月14日 18:36

文/内田 暁男

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