Riddim Saunter(2)
自分たちの素を出せた感覚がある
――“Sweet & Still”をはじめ、アルバム一枚を通じて〈新しい時代のネオアコ〉って感じすらするなと。しかも全然懐古趣味じゃないし。
TAICHI「ネオアコをすごく聴いてたんです。実はこれまであまり聴いたことがなくて、チャーベさんがDJでトラッシュキャン・シナトラズをかけてた時に、〈これなんですか?〉って(笑)。それからすごく好きになって、そういうのやりたいなと思って。“Sweet & Still”は、ジム・ジムニーみたいな曲をやりたいってとこから、ひとつ〈抜けた〉メロディーが出来たんです。これはネオアコだけじゃないものが出来たなって」
KEISHI「ただのネオアコってだけじゃ曲は完成してなかったと思う。そこは重要なとこですね」
――曲の持つ突き抜け感も素晴らしいけど、そこはめざしてたとこですか?
TAICHI「たぶん、そこがRiddim Saunterなんですよね。突き抜ける感じがないと、曲が完成しないんです。暗いのは好きじゃないし、思いっきり明るかったりポップななかにちょっと泣ける感じがあるとか、プラスαがないとなって。それが目に見えてできたのが“Sweet & Still”だったんです」
――この曲の歌詞を作った時はどうでした?
KEISHI「サビのメロディーで3つの単語を入れようとしたけど、なかなか出てこなくて。やっと〈Sweet & Still〉って出てきてハマった感がありました。テーマがひとつ出来ると付随する物語を書けるので、そこからは早かったですね。いい言葉が出てこない時はメロディーもわからなくなったり、いろいろ試行錯誤してました。微妙な変化を1か月くらい続けて歌ってた気がします(笑)」
――アルバム全体的な話だけど、歌詞は音が出来てから作るほう?
KEISHI「僕はそうですね。作り方はいろいろだけど、サビがパンチラインになっている曲はサビから作るし、“Oh Baby, Why?”はラヴァーズだからラヴソングにしようとか、逆に“Out You Go”はラヴソングの次の曲だから滑稽な話にしようとか。“Can You Catch Me?”は子供の歌みたいなものがテーマだったから、僕の英語力だけで書いたら簡単な歌詞になるなと思って、英語から書いてみたり。あと、今回は1曲がひとつの物語になるようにしたかったので、そこは全曲でこだわりました」
――聴いた感じの印象だけど、オムニバス映画的な感覚がありましたよ。
TAICHI「僕、映画全然観ないけど、そういうイメージで作ったんです(笑)」
KEISHI「映画〈コーヒー&シガレッツ〉みたいな感じに近いですね。このアルバムは、日常をにまつわる12個の話って感じです」
――そういう作りは、いままでと違うなと。
TAICHI「そこは、これまでより意識しました。音に関しても、いままでは曲ごとでハウスとかヒップホップとかの違うジャンルになってたけど、今回は比較的近いラインのジャンルが並んだアルバムになりましたね。自分たちの素が出せた感覚はすごくあります。前は、やっぱり海外のバンドとかを意識してやってたけど、今回はそれがまったくなかったんです。“Bad is...”はイマっぽいダンスものにできたらと思ったけど、結局違った感じになったし(笑)」
――他を気にしなくなったきっかけはありました?
TAICHI「海外に行ったのも大きかったんですね。フェニックスはすごく好きだけど、日本の外に出てみたら真似できないなと思って(笑)。海外がどうとかいってる場合じゃない、僕らは僕らのことやらないと、って。そういう感じでやろうとなんとなく思いながら曲を作って海外に行ったけど、やっぱり間違ってなかったって確信できましたね」
KEISHI「日本が好きになりました(笑)。日本のバンドだぜって言えるものを作らないとな、って思いも強くなったし」
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