Riddim Saunter(3)
1周した後も、ずっと聴けるアルバムにしたかった
――海外ライヴは大きかったと。あと、曲のなかでの転調もけっこうあるけど、変に飛び道具になってない滑らかな感じが気持ちいいですね。
TAICHI「コード進行はけっこう気にしてます。今回は、自分らの雰囲気にいちばん合うコード感、メロディー、ハーモニーによりこだわっていて。音の並びのきれいな感じを出せたら、と。ただ、きれいな転調を自分らの色にするのはなかなか大変で(笑)。でも、それを全曲でやると、ビートが違っても曲のラインが統一できるってことに気付いたので、あまりばらけない感じになりましたね」
――なるほど。アルバム中盤には、アイリッシュ・パンク的な“Out You Go”や〈パパパ〉コーラスのファスト・チューン“Ain't A Pose”、ほのぼのとした“Can You Catch Me?”といったナンバーも入ってますね。
TAICHI「冒頭と最後の曲が出来てから、真ん中で遊ぶ曲を作るんです。きれいなままっていうのもダメで、どっかに行って帰ってくるって感じじゃないとアルバムは締められないんですよね。“Out You Go”と“Ain't A Pose”は、それこそライヴの時にアゲる展開も必要かなって作ったとこもあるので」
KEISHI「“Can You Catch Me?”は、ドラムがない曲があってもいいんじゃないかと思ったんです。“Bad Is...”もそうだけど、やりたいことが決まってる曲はすぐ出来る感じはしますね」
――“Waltz Of The Twins”は、美しいメロディーが光る3拍子の曲ですね。ディスロケーション・ダンスの“Bottle Of Redwine”を彷彿とさせる感じもあって。
TAICHI「あ、ディスロケもよく聴いてました。“Waltz Of The Twins”は、アルバムでストリングスを入れようと思ってたので、先に出した7インチではあえて入れなかったんです」
――フィーチャリングで歌ってるマリ・パーセンとのデュエットも新鮮ですね。
TAICHI「彼女はロイヤリティーズのメンバーで、ソロも出してて、好きだったんですよね。これは元々掛け合いの曲だったんですけど、誰かに歌ってほしくて頼んだんです」
KEISHI「掛け合いから完全にデュエットになりましたね(笑)。ここまでのデュエットは初で楽しかったです。彼女が歌ってくれること自体嬉しかったし、勉強になったなって」
――そして“What Comes After The Parade”は、本編ラストを飾るに相応しいドラマティックなナンバーです。
TAICHI「この曲は、コリン・ブランストーンやゾンビーズをチャーベさんから教えてもらって……今回のストリングスは、その流れからだったりもするんですけど」
――おぉ、コリン・ブランストーンの『One Year』が、今回のストリングスに繋がってたんですね。
TAICHI「そうなんです。で、そういうシンガー・ソングライターみたいなイメージから、この曲のコード進行を作ったんです。実は“Sweet & Still”とキーとコード進行がいっしょだったりするんですけど……」
――いろいろ仕掛けがありますね(笑)。
TAICHI「ハイ(笑)。1周した後も、ずっと聴けるアルバムにしたかった、というのがあって。それに、インタヴューを読んだ人が、〈これとこれはキーがいっしょで、コード進行が同じ〉とかわかったら、もう一度聴いた時にまた違って聴こえると思うし。曲同士の繋がりの良さの謎がわかったりするのも楽しいんじゃないかなって」
――そういう音楽の楽しみ方もありますもんね。この曲の歌詞のイメージは?
KEISHI「それこそアルバムが1曲目に戻る感じがあるので、アルバムのストーリーはここで終わるけど、ここからどうするの?みたいな投げ掛けで終わってるんです。終わるけど終わりじゃない、悲しいだけじゃないよってこともありつつ、聴く人がそこからまた考えてほしいなって」
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