INTERVIEW(1)――〈こういうアレンジはどうですか?〉という提案
〈こういうアレンジはどうですか?〉という提案
――そもそもこのカヴァー企画は構想として以前からあったものなのですか?
「いえ、きっかけとしてはリクエストですね。レコード会社からの。〈カヴァーやってみよう!〉とかいう考えはそれこそ昔、ロック・バンドをやっていた頃までだったので。で、そのオファーが〈インストを含めて〉というものだったので、段々興味が湧いてきて……せっかくだから、この機会にやってみようかな、と」
――〈Soundtracks〉にも感じることですけど、〈自分が聴きたいものを作ろう〉という感覚ですか?
「そうですね、完全に。〈Soundtracks〉は自分の好きなアーティストに対して、その人を意識してトラックを作るわけですけど、基本〈こんな曲があったらいいのに〉という思いで作ってるので、それはカヴァーも同じですね。〈こういうアレンジのものとかどうですか?〉という提案というか」
――曲を選んだ段階で、〈リードをこの楽器にしよう!〉とかいったヘッド・アレンジがハマることは多いですか?
「曲は、自分で選んだものもあれば、レーベルからのリクエストもあるんです。だから、前作の時は初めてということもあって探り探りやってた感じだったんですけど、今回はだいぶコツを掴んだ気がします」
――あと、前作はアレンジ的にもよりフロア向けな感じでしたが、今回はよりラウンジ寄りというか……幅が広がってますね。
「そこは意識しましたね。今回ももちろん現場でかけたいものもあるのですが、あからさまにそこは狙わずに……ヒップホップとかを普段聴かない人にも馴染みやすいような作りにしてます。音的にもいまの時代感を反映するんじゃなく、長く楽しめるものにしたかったので。統一感を出そうと意識はしなかったのですが、自分の音楽はクセが強いほうだと思うので、そのカラーを出せば自然とまとまりは出るのかな、って」
――ヒップホップにハマる前にはロックのバンドをやってたんですね?
「ギターを弾いてました。いわゆる(へヴィー・メタル、ハード・ロックの)速弾き系が周りでブームになってて、友達とツイン・リードでハモったり、掛け合ったり、トリルの練習したり……してました(笑)。〈速く弾けるヤツが偉い!〉みたいな感じで。ギター・ヒーローとしては、スティーヴ・ヴァイとか、ポール・ギルバートとかが人気ありましたね。自分でやってたバンドでは、ミスター・ビッグや、レーサー・Xとかの曲もやってて」
――その頃の経験がいまに活きていると感じられる部分ってありますか?
「自分では良くわからなかったりするんですけど……他人からはよく〈ロックやってた人が好きなドラムの音色だよね?〉とか言われますね。確かに音の好み的にヒップホップ、ヒップホップしすぎていない部分があるのかもしれないですね。あとは、若い時に楽器をちゃんとやってた、ってのも活きてるかもしれません。コード進行はきちんと理解してるつもりだし、そういう部分はやはりリミックスとかでも表れますから」
――では、ここからは今作でピックアップした楽曲それぞれへの個人的な思い入れと、カヴァーで心掛けたことを教えてください。