INTERVIEW(3)――自分のカラー=統一感
自分のカラー=統一感
――今作でもヴォーカル、ピアノ、ギターの導入はかなりキーになってますよね。現場ではどんなふうにリクエストしましたか? 楽曲によってアプローチも違うので難しいとは思いますが……。
「そうですね。ピアニストは友達の友達で、ギタリストはライヴの現場で知り合った方なんですけど、オーダーに関しては、おっしゃる通り、曲によって違うので一概には言えないですね。共通しているのは、コード進行的な話です。もう何年もいっしょに仕事してるので、自分の作風を理解してくれているところがみなさん良いですよね」
――Deckさんの作品を聴くと、一度出来上がってから自分でも相当聴きこんでいるような気がするんですが、実際はどうですか? 逆に、あえて聴かない人もいますけども。
「制作過程で死ぬほど聴いてるから……って話ですよね。僕の場合は、〈これでOKだろう〉という確認の時点からさらに100回くらい聴きますね。やっぱり、基本的には自分が聴きたいものを作ってるので。そこにはこだわってます。ヒネクレ者なのかもしれませんが、レコードを掘っていると海外の作品でもこういうヴァージョンがあったらいいのにな、とか、こうしたらいいのに……とか常々感じていたりして、そういった思いを自分の制作にも活かしてるので。前作も自分で相当聴き込んだし、今回もそうなると思います(笑)。でも、前作よりも良く出来たと思いますよ、現時点でも。タイムレスなアレンジを心掛けたし、長く聴いてもらえるものになったと自負してます」
――例えば、この企画での次回作となると、パッとどんなテーマが思いつきますか?
「う~ん。そうですね……自分が好きな曲だけで作る、とか(笑)。今回は最初になんとなくロックで行こう、という話があり、選んでいるうちにそうでもない曲もやりたい、ってなったわけですけど、例えば……ハード・ロック、メタル系だけでもアリだろうし。いい曲はゴマンとありますし、カヴァーしたいな、アレンジして全然違うテイストに変えてみたいな、と思う曲もかなりありますから。もし、仮にその路線でやるとしても、USよりもUK、ヨーロッパあたりのものが中心になると思いますね。何せ、メロディックなので」
――本作のなかで、ギター・ヒーローに憧れていた昔の自分に聴かせたい1曲はどれですか?
「そうですね~。“Creep”とかいいかもしれないですね。楽曲として格好良いものが何かわかると思いますしね」
――また、今作でもっともハードルが高いと感じた曲となると?
「間違いなく“Dancing Queen”ですね。それだけに、やり甲斐もすごくありました。あまり知られてない良い曲を取り上げることも必要かもしれないですけど、いまってTVCMやドラマなんかでも昔の曲を使うことが多いし、そんな、原曲を誰もが知ってる曲にあえてトライすることも重要だと思うので」
――要は、自分のカラーに染める、ということが大切なんですね?
「そうですね。だから、〈こんなにジャンルや時代もバラバラなカヴァーで、よく統一感が出せますね〉と時々言われるのですが、アルバムとして統一感を出そうとかは実は考えてなくて、自分のカラーを出せば自然とそうなるんじゃないか、と思ってます」
――あと、ジャケのイラストが素敵ですが、アートワークには毎回こだわってますね。
「この絵はMilkaに描いてもらいました。タイトル通り〈お城〉というテーマで、今回はそれを擬人化したかったので絵で表現するのがいちばんかな、と。アートワークはやはり大事だと思いますね。アナログ時代って、〈ジャケ買い〉ってあったじゃないですか。CDはパッケージとしてアナログより小さいけど、それでもコレクトしたい願望は持ってます。みんなにもジャケ買いしてほしいし、毎回凝った感じにしたいんですよ。配信にもいい部分はあるかもしれないけど、パッケージはやっぱり音もいいし、手元にずっと置いてほしいんで、ぜひ!」
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