INTERVIEW(2)――全曲を一挙に解説!
NIRVANA “Smells Like Teen Spirit”
「当時は、速弾きに明け暮れてたんですけど、この曲で彼らを知って好みが変わったというか、ロックの聴き方が変わりました。プレイ云々じゃない方向に……とにかくカッコ良かったし、新しいなー、って。この前の作品から彼らはグランジというスタイルを確立させてましたけど、やはりこの曲の入った『Nevermind』が好きですね。ジャケのインパクトも含めて。ここでは、昔新しく感じた要素をロックとはまた違う方向性で自分なりに表現してみました」
OASIS “Whatever”
「オアシスは、普通に好きなバンドです(笑)。いい曲も多いし……実は彼らの曲のなかでは“Wonderwall”がいちばん好きなんですけど、カヴァーするならこのきょく“Whatever”だな、と思って。パッと聴きで〈良いメロディーだな~〉とみんな感じるだろうし、クラブでもプレイできるような、無理のない感じに作れたと思います」
THE CARDIGANS “Carnival”
「この曲が出た当時はアシッド・ジャズにハマってましたね。マザー・アースやコーデュロイみたいなアーシーなファンク・バンドが大好きで……で、カーディガンズと言えば90年代スウェディッシュ・ポップの代名詞ですけど、生音でグルーヴィーなアシッド・ジャズにも通じるスタイルだったので、よく聴いてましたね。特にこの曲は、誰もが好きだったんじゃないかな。カヴァーではメロウなジャズを狙ったんですけど、アレンジ含め、自信作になりました」
CHAKA KHAN “Through The Fire”
「オリジナルはチャカ・カーンで思い出の1曲なんですが、僕の場合はリアルタイムじゃないし、少しおかしな入り方だったんです。ソウルものよりもジャズのネタを掘ってた時代に偶然知ったというか……〈定番モノもしっかり聴いとこう!〉と思ってた時で。最初はそんなに有名なヒット曲とは知らなくて。カニエ・ウェストがサンプリングした時も〈やっぱり!〉とは思ったのですが、やっぱり原曲格好良いな、と思って。やるなら最初からインストで、リードはローズであのメロを!と決めていました」
ABBA “Dancing Queen”
「テーマは〈破壊〉でした(笑)。あのメロを活かしたうえで、まったく違う方向性でアレンジしたかったんです。原曲って、それこそ30年以上前だし、いい意味でいまだとちょっとダサく聴こえる部分もあるじゃないですか? だから、そこを自分の作品が好きなファンにも無理なく聴けるものにしたかったんですよね。元はディスコ時代のクラシックですけど、これならお洒落なラウンジでも流せるよ、という」
RADIOHEAD “Creep”
「レディオヘッドも、いろんな意味でロックの聴き方を変えてくれたバンドですね。個人的に好きなのは『OK Computer』あたりのサウンドなんですけど、独特の世界観があるし。でも、この曲は超初期の曲だし、それほどカヴァーされてないはずだし、おもしろいかなと思って。ただ、元曲の雰囲気を壊すとガッカリされるだけなので、そこに気を遣いながら、変に壊さずに、やっぱり壊す……みたいな(笑)。その匙加減が難しかっただけに、いい仕上がりになったと思います」
SKID ROW “I Remember You”
「メタルの世界で言うパワー・バラードの部類なんですけど、恐らくみんな普通にソウルねたと勘違いするんじゃないですかね。念押ししておきますが、スキッド・ロウと言ってもゲイリー・ムーアのほうではなく、セバスチャン・バックがいたUSのバンドのほうです。バイクが舞台から飛んできそうなワイルドな来日公演もしっかり観に行きました。前作では、彼らとほぼ同世代のガンズ・アンド・ローゼス“Sweet Child O' Mine”をカヴァーしていて、アクセルの独特のメロのせいもあり若干手こずったのですが、この曲に関しては難なく」
JAMIROQUAI “Virtual Insanity”
「この曲はレーベルからの提案だったのですが、自分的にもジャミロクワイで何か1曲カヴァーするなら、やっぱりコレかな?と。PVも好きだし。もっとアシッド・ジャズ寄りの昔の作品も好きなんですけど。仕上がりはフロアを意識するよりも、タイトなドラム、パーカッションで押し切ったほうがおもしろいかなと思って」
BOYS TOWN GANG “Can't Take My Eyes Off You”
「この曲はいちばん有名なボーイズ・タウン・ギャング版よりも、ローリン・ヒルのカヴァーのほうで好きになりましたね。〈こういうカヴァーってすごいな!〉と当時思いましたから。その感覚やアイデアは、このシリーズに影響を与えている部分もあると思います」
COMMON feat. LAURYN HILL “Retrospect For Life”
「僕の4大ヒーローのひとり、コモンのなかで最も好きな曲です。〈生命の大切さ〉を説いたリリックのメッセージも含めてトータルで本当にいい曲だな~と思います。インストでやるなら、ピアノ、ギターを生で入れたこの編成にも上手くハマるかなと思いましたし。思い入れが強いだけに、完璧なものにしたかったですね」