インタビュー

LONG REVIEW――YO-KING 『スペース ~拝啓、ジェリー・ガルシア~』

 

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真心ブラザーズが活発な活動を続けるなか、久々にソロとして再始動したYO-KING。まず届いたのがこの5曲入りのミニ・アルバムだ。冒頭の表題曲“スペース~拝啓、ジェリー・ガルシア~”は、偉大なロック・アイコンをテーマとした〈拝啓〉シリーズの第2弾……に当たるのだろうか、ジェリー・ガルシアに捧げられている。グレイトフル・デッドの中心人物だったガルシアは、サイケで風変わりなヒッピーという類のイメージが強いかもしれないが、その表現の核として〈愛と平和と自由〉を謳っている点で、YO-KINGが“拝啓、ジョン・レノン”とリスペクトを捧げたジョンと重なる(ジョンもサイケで風変わりな面があったし)。

とはいえ、“拝啓、ジョン・レノン”が随所でアイロニカルなトゲを残していたのに対して、本作でのYO-KINGは前向きに人生を過ごすためのヒントやパーソナルに気付いたことなどをサラリと述べている。この語り口の変容を〈成熟〉と取ることもできるのだろうけど、それでも曲の根底にある想いや熱さは、ジョン版から通底しているものであり、それこそがYO-KINGのソロの醍醐味でもある。

他にも、ブレイクビーツに乗せたラップ調の“ライセンス・トゥ・精神世界”、弾き語りのフォーク・ソング“世界の元”、ポップで軽やかな“愛しき日々”を収録。またボーナス・トラックとして“Hey! みんな元気かい?”の宴会ヴァージョン……もとい、ライヴ・テイクも。どの曲にもポジティヴな活力が漲っており、音楽的な幅広さも含めて、YO-KINGの〈いまのモード〉をコンパクトにまとめた作品と言えそうだ。

 

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掲載: 2010年07月21日 17:59

更新: 2010年07月21日 18:22

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