INTERVIEW(4)――パーティー・キラーの次はメロディー・キラー
パーティー・キラーの次はメロディー・キラー
——逆に後半のほうはもっとファンキーな感じになりますよね。生音っぽいファンキーさが上手く活かされるようになってくる。
Rei「後半の曲がそれ以降に出来た曲なんですけど、“STEP OUT”と“NEONDUB”が僕発信の曲ですね。生の要素が増えとる」
——ドクター・マッド・ヴァイブが参加した曲で、スカの要素がすごくおもしろく導入されていますよね。あとおもしろかったのが“RIFFRAIN”で、ヴォコーダーを使ったり、他の曲に比べてトランシーかつメロディアスなテクノっぽい曲で、とても普遍的な感じがします。
Rei「最初に“PARTY JACKER”や“MAD 4 KICKS”みたいにバキバキした極端に格好いい振り切ったダンス・ミュージックを一回やったんです。その後、僕みたいに元々メロディーが好きなメンバーもいるし、腰だけでなく心も揺らす音楽を作ったほうがいいんじゃないかってことになったんですね。それでパーティー・キラーの次はメロディー・キラーを作ろうというとこから生まれた曲なんですよ」
——で、“NEONDUB”になると今度はダブステップみたいなノリになってくる。おもしろいアルバムですよね。
Rei「おー、ありがとうございます。ベース/ヴォーカルやけれども、あんまりベースを弾いてなかったんですよ。それで、そろそろベースもちゃんと弾きたいなっていうので、ドラムとベースラインから作ってデータを交換しながらいまみたいな形になった感じですね。Konnieの好きなマッシヴ・アタックのダブな要素と僕のスカの――ジャマイカのスカが発展してダブができたじゃないですか――そこが繋がったような曲です」
——あと“STEP OUT”のイントロのギターがナンバーガールっぽいというか、ガレージやハードコアを通過したギターの音色でちょっとびっくりしました。
Konnie「これはヨシミツさんのバックグラウンドにマイブラとかのシューゲイザーやUSインディーがあるから、その匂いがあるんじゃないかな」
——ああ、マイブラのバックボーンってUSのガレージ・ロックにありますもんね。ちなみにアルバムのテーマについては何か考えていたんですか?
Konnie「この作品の前に会場限定で出した盤があって。それはフロア向けの振り切った内容で統一感がある感じだったんですけど、それ作ってその次に何作ろうとなったときにいろいろと考えたんです。それで、ダンス・ミュージックとしていまのモードみたいなのを意識しつつも、よりハートに訴えかける要素が絶対に必要なんじゃないかと思ったんですよね。それで必然的に二面性みたいなものが生まれてきて、タイトルに『db』ってつけたんですよ。形はいっしょなんだけど、切り口や見る方向の違いでいろんなふうに見えるというか。二つの極がありつつも繋がっているというか。あと2010年で新しいディケイドのビギニングを作るっていう思いも込めています」
——わかりました。それでは最後の質問です。最近よくインタヴューで訊いているんですが、〈あなたたちは何者で、何をみんなに訴えたいんですか〉という問いに対して、お二人はどう答えますか?
Konnie「う〜ん、それ難しいですね……あの、僕らが思っているのがいつも2ウェイであることなんですよ。今回の『db』もそうだけど、フィジカルなものとハート的なものとか、Reiくんの外に向かう感情、僕のインな感情。結局対になっているんですけどそれが何らかの形で繋がっているのを感じるんですよね。だから僕らの音楽に触れてくれたことで、何か違う次元のものが見えてきたりとか、違う景色やものの見方が生まれてきて、それがちょっとでも人の人生に作用していけばいいのかも。僕はミュージック・ソルジャー&ビート・メッセンジャーなのかなって思ってますけど」
Rei「そうやね。音楽を通して人の感覚にスイッチを入れたり、イグニッションというか起点になる、そんな世界観を提示していければいいんじゃないかなと思います」