LONG REVIEW――NEON GRAVITY 『db』
プログラミング・ビートと人力ドラムのハイブリッドなグルーヴを搭載したサウンドを繰り出す4人組、NEON GRAVITY。ロックとダンス・ミュージックを融合するバンドは洋邦問わず星の数ほどいるが、彼らの魅力は本能的な〈奔放さ〉を持っていることだ。ドクター・マッド・ヴァイブ(=フィッシュボーンのフロントマン、アンジェロ・ムーア)をフィーチャーした“STEP OUT”ではスカとファンクをアップデートする最新型のミクスチャーを披露し、“Party Jacker”では性急なビートと歪んだシンセでエレクトロ×パンク・ロック的な狂騒を生み出す。かと思えば各曲でヒップホップ的なライムも聴かせる。とはいえさまざまな音楽ジャンルが単に〈ごった煮〉にされていくわけではなく、そのすべての要素がフロアで〈効く〉かどうか? という一点において鋭く磨き込まれている。
2008年結成、その年の〈SUMMER SONIC〉ではいきなりオープニング・アクトとして出演し注目を集めた彼ら。同じ年のオープニングにはthe telephones、サカナクションといまや日本の新世代ダンス・ロックを代表するメンツが並んでいたが、2年越しの初音源『db』でいよいよ彼らもシーンに名乗りを上げることになる。ソロ・アーティストやスカDJとしても活動してきたフロントマン、Rei Mastrogiovanniのバレアリックな個性がキモになるだろう。フェスで名を上げていく様子が目に浮かぶ。