INTERVIEW(2)――固定観念が崩れました
固定観念が崩れました
――2008年にはヨーロッパ・ツアーが実現したわけですけれども。最初に海外でライヴをやったときというのはどんな感じでした?
愁「洋楽に影響を受けたぶん、まさかその場所に自分たちが行けるとも思わなかったし。感慨深かったですね」
――向こうのお客さんは、やっぱり日本のファンとライヴの反応は違いました?
左迅「違いましたね。いちばん違うのは、日本でバラードをやるとみんな黙りこんで棒立ちで聴くんですけど、海外の人たちはいっしょになって大合唱してくれたり手拍子してくれたりするんですよ。感情表現が豊かというか、抑えずに自由に音楽を楽しんでいる感じ。枠に囚われない楽しみ方というか」
――昨年にはヨーロッパのメタル・フェスでスリップノットやマリリン・マンソンと共演を果たしたんですよね。それが決まった時にはどんな感じでした?
愁「だいぶポスターの文字の大きさは違いましたけど、同じところに名前が載るのも、そのフェスに日本代表で出るというのも、嬉しかったですね。僕らなんか出てもいいのかなと思いつつ、そこで何か起こせたらいいなとは思いました。〈ギルガメッシュすげえな、日本のバンドってすげえな〉って思ってもらえたらと」
――現場ではトラブルもあったらしいですけど。
愁「直前になって、パソコンが使えなくなっちゃったんですよ。だからパソコンを使った曲ができなくなった。フェスって、大抵そういう時は出演キャンセルになるんですよね。でも、僕それですごく楽しみにしていたバンドを観れなかったことがあるんで、それはイヤだなと思って。無理やりセットリスト作って、その場でやりました。そういう意味では精神面はかなり鍛えられましたね」
左迅「ちょっとやそっとのトラブルじゃ動じなくなったという」
――これまでの経歴を見ても、ギルガメッシュというバンドは基本的に毎年何回もツアーをやってきているわけで。自分たちがライヴバンドだという意識ってどのへんから身に付いてきたんでしょう?
左迅「結成当初からライヴバンドだった気はしますね」
愁「バンドを組むにあたって、普通はライヴをやりたいからバンドをやりたいというのがあたりまえな話だと思うんですよ。だから僕らからしたら〈なんでライヴをやらないんだろう?〉って思っちゃうんですよね。やっぱり根本はそういう簡単な話なんだと思います」
――これだけライヴをやっていると、ステージに立っているということ自体が自分たちの音楽性にも影響を与えてくるということもあるんじゃないですか?
愁「そうですね。すべては一本です。曲が出来たからライヴで披露する、ライヴでこんな曲をやりたいんでCDを作る、という繰り返しですね」
――そういったなかで演奏は骨太になりつつ、プログラミングのビートが強くなったり、スクラッチが入っていったりする。これまでのアルバム4枚はそういう進化をしてきているとも思うんですけれども。
愁「やっぱり、根底にそういう音楽が好きっていうのがありますからね。特にここ最近は、ドラムのЯyoを中心にプログラミングも全部自分たちで作っていて。どんどんおもしろいアイデアを出して、みんなで膨らませていく。そういうディスカッションがあるなかでの制作なんですよね。みんな、音楽に貪欲なんですよ。いろんな新しいものを吸収しようとするし、海外のバンドを見て、いろんな固定観念が壊れてきた。ドラムのЯyoの言葉にハッとしたのがあって。スリップノットを〈ポップ〉だと言ったんですよ。それに、なるほどなと思って。ヘヴィーだけどわかりやすいし、すぐにノレる。それに、たとえばラウドでもヴァイオリンをメンバーに入れたようなバンドもある。固定観念が崩れましたね。そこからギルガメッシュのサウンドが進化していった感じがあります」
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