INTERVIEW(1)――マイナーチェンジに気付いてほしい
マイナーチェンジに気付いてほしい
――結成10周年を迎えた今年はキャリアの集大成という活動が続いてきたと思うんですけれども。現時点で今年10年を振り返るとどうでしょう?
柩「10周年といっても、キリがいいから10周年なだけで。8年目も9年目も、全部の年が大事だと思うんです。だから今年1年をピークにしたくなかったですね。そうしちゃうと〈11周年をどうするんだよ?〉ってことになるし。逆に落ち着いた気持ちでいられる1年ですね。周りが祝ってくれるのは嬉しいことですけど。いままででいちばんの1年にしたいということは、毎年思っているので」
――集大成というよりも、その次を見越した1年という?
柩「そうですね。どんどん次に繋げていかなければと思うので」
――では、今回リリースしたベスト盤『10th anniversary album Historical ~The highest NIGHTMARE~』は、まずどういうところから制作がスタートしたんでしょう?
柩「どうだったかなあ。今年に入ってから話がまとまった感じでしたね。気付いたら〈再録しといて〉みたいな感じになってた(笑)。シングルの“a:FANTASIA”のレコーディングの時に、他にも何曲かレコーディングをしていて。その合間に再録していった感じです。再録の話が先にあって、〈これはどうなるんだろう?〉って思ってたら、ベストに入る曲だったという(笑)」
――過去の曲を再録するにあたっては、いろんなアプローチの方法があるわけですよね。過去の曲をどう料理しようと思いました?
柩「他のアーティストが何年も前の曲を新しく録り直したのを聴いたとき、いいものにはなっているんですけど、個人的にはオリジナルのほうが好きだった、という経験があったんですよ。だから、そう思われないようにするために、ガラっと変えることはしなかったですね。ちょっとだけフレーズをアレンジしたり、歌詞をちょっと変えたり、マイナーチェンジのような感じですね。ほぼオリジナルに近い状態というか」
――ライヴでいま演奏している感じに近付いている?
YOMI「近いですね」
――バンドとして演奏力も鍛えられてきたわけですからね。
柩「そういう部分では歌がいちばん成長しているんじゃないかな」
YOMI「昔は足りない部分が多かったので、そこはしっかりと、いまの実力で歌ってますね」
――ヴォーカルは、テクニックとかスキルというよりも、より感情の表現力を磨いてきた印象がありますけれど。
YOMI「そうですね。ライヴでずっとやってきたので、感情が込められるようになってきたのかもしれないと思います」
――ライヴで楽曲自体が変わっていくこともあるんでしょうか?
柩「曲によって、イントロを伸ばしてみたりはありますね。あと、RUKAさん(ドラムス)が勝手にキメを入れはじめたりするんですよ。リハでも何も言わないのに。そういうのに対して弦楽器隊も次のライヴからガシッと合わせる(笑)。ツアーを回っていくうちにそれがまとまったり。そういう少しずつの変化はありますね」
――このベスト盤で新録した曲で、そういうものが反映された曲はあります?
柩「特にオリジナルと違うのは、“-Believe-”ですね。イントロも違うし、キーも上がっているんです。“東京傷年”という曲も、さっき言ったキメがある。“時分の花”もアウトロからメロディーと歌詞が増えて、曲が変化している。“極東乱心天国”もそうですね。“Fly me to the Zenith”はキーが下がったんです。当時ファルセットで歌っていたところも、そうじゃなく歌えるようになったという」
――では、前の作品を持っているリスナーの人も楽しめる部分はたくさんあるわけですね。
柩「そうですね。変化に気付いてほしいという。あとは構成がいっしょでも、歌い回しが違っていたり。他のメンバーも、それぞれライヴでやってきたことでフレーズの変化があるんで。そういうところで楽しんでもらえればと思います」
YOMI「とはいえ、ガラッと変わってるわけではないんで。いい感じに聴けると思います」
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