INTERVIEW(4)――なめてかかったら怖いぐらいにポップ
なめてかかったら怖いぐらいにポップ
――あと、歌詞の面では、少年の旅立ち感が描かれてたり、全体的に青さや甘酸っぱさがより強く出てますね。
カジ「基本的に歌詞は、音を録ったあとに、その曲に雰囲気に合った――相乗効果のある歌詞を書きたいんです。やっぱりリディムとレコーディングして、フレッシュな勢いがあったから、それに負けない青さ甘さをさらに強調する歌詞を書かなきゃと思って(笑)。ただ、それをみんなに見せるのが恥ずかしかった(笑)」
――それはなぜ(笑)?
カジ「リディムは英語でやっててカッコいいし、それにみんなの作品だし、〈大丈夫かな~〉って最初はドキドキで(笑)」
TA-1「いや、もう最高ですよ。みんなメチャ気に入ってます。いきなりHIROSHIが〈ヤバい! やっぱカジさん違うわ~〉って言ってましたもん(笑)」
――良かったですねー。そういえば、リディムってコラボ作品を作ったことはありましたっけ?
TA-1「いや初めてです。すごく楽しかったですね。最後のほうには、〈終わるのやだね〉ってみんなで言ってました。いろいろ勉強になったし、何よりいい作品が作れたなって。ほんとカジさんの曲が好きだし、〈いいな〉と思いながら作れました。無理矢理なコラボじゃなく、バック・バンドでもなく、いっしょに音楽作れたって感じがしてます」
――カジくんが、バンドといっしょにやるっていうのも久々だったのでは? もしかしたらブリッジ(カジが在籍していたバンド)以来かも?
カジ「ホントそう。バンドって感覚は久しぶりだなぁって。ソロと違って、スタジオ行ってバンドがいてTA-1くんがいろいろ指示してくれて、大船に乗ったような気分というか(笑)。バンドの一員として参加できて、刺激しあえる作業だったなって」
――では最後に、『TEENS FILM』を聴いてくれる人に、どんな感じで楽しんでもらいたいですか。
カジ「自分のファンの方にはとても楽しんでもらえる作品が出来たと思うし、リディムのファンの方にもそう思ってもらえたらいいし。そうじゃない人にも、すごくおもしろいポップ作品として聴いてほしいなって。あと、いわゆるメインストリームのポップスではないけど、すごくわかりやすいし、それでいて裏にはたくさんの音楽のルーツが隠れてるよ、っていうのも知ってくれたらなって。意外と、そういうふうに〈ポップ〉にこだわって作ってる人って少ないと思うんです。自分は自分のルーツやバックボーンを楽しんで音楽を作ってきたし、新しい世代のリディムも音楽愛があってやってるバンドだと思うし。そういう聴き方をする人が増えたらいいなって」
TA-1「カジさんのいう通りですね。パッと聴いて〈爽やかだな〉でももちろんいいんだけど、深く掘れば情報量の多い音楽なんだよって部分も聴いてもらいたい。カジさんが、他の雑誌で〈ネオアコってなめられるけどそうじゃないんだ〉って言ってたけど、それを僕も体現したいなって。〈なめてかかったら怖いぞ〉くらいのポップな音楽をニヤニヤして聴いてほしいです。そういう音楽をいまの時代にやるっていうのも、すごくおもしろいと思うんですよね」
▼カジヒデキ、Riddim Saunterの作品