INTERVIEW(2)――覚悟を決めた
覚悟を決めた
copa salvoと共にオルケスタを形成するのは、新旧の敏腕プレイヤーたち。GANGA ZUMBAの一員でもあるキューバ人トランペッター、ルイス・バジェがバンマス的に彼らを仕切った形だ。
「すごいペッターがいるっていうんで、まずはルイスに会いに行ったんですよ。彼にアイデアを話したら興味を持ってくれて。それでルイスをバンマスにして、彼の好きなプレイヤーを集めてもらったんですね。現場はほとんど一発録り。譜面上は〈パーン!〉ってなってるのを〈パッ!〉にしたりとか、そういう細かいニュアンスを全部ルイスが仕切ってくれました。みんな凄いんですよ。ものすごく音がデカくて、それがラテンぽいんです。ルイスの音も凶悪なんですよ。高速道路を走るヤンキー車両みたいなノリ(笑)」。
また、マンボの何たるかを知り尽くしたルイスの手腕と同時に、今回は小林がリーダーとして全体をコントロールしたことも大きい。
「一昨年ぐらいから自分の立ち位置を変えてみたんです。〈もうこのバンドで一生やっていこう、このメンバーと一生付き合っていこう〉と覚悟を決めたんですね。昔だったら、メンバーと喧嘩になっても〈オレが折れればいいか〉なんて思ってたんだけど、そういうのは止めようと。いまは〈これをやってきて!〉というノリ。昔からディレクションをしてきた部分もあるんですけど、その覚悟がなかったんでしょうね。いまはそういうことを言える自信を持てるようになった。子供ができたり、いろんなことがあって覚悟が決まったんじゃないですかね。ツラの皮が厚くなったというか、どんな批判にも耐えられるようになったと思う」。
そして小林は「いままでは恥ずかしくて言えなかったですけど、確実にオレらも上手くなってると思いますよ」と胸を張る。
正直な話、ここまで王道マンボに堂々と向き合うcopa salvoの姿に驚きを覚えるリスナーも少なくないのではないかと思う。『Los lobos del mambo』でのcopa salvoは、〈極東ラテン・ロッカーズ〉を名乗ってきたこれまでの彼らとはひと味違う。コメカミに青筋を立てながらティト・プエンテに挑戦するいまの彼らは、世界に類を見ないほどイカしたラテン・バンドにまで進化を遂げたのだ。「今回のアルバムを作って、〈もうやっちゃいけないことはないかな〉っていう気持ちになってます」――そう話す小林の表情は確信と自信に満ち溢れていた。格好いいぜ、copa salvo!
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