INTERVIEW(3)――人のソロに全員が突撃しにいく
人のソロに全員が突撃しにいく
――そういうアンサンブルの妙があちこちにあって、聴きどころ満載でした。それと、誰かが前でソロを取っていても他の誰も後ろに引かないじゃないですか、カゲロウって。たとえば本式のジャズだったら、ソロを取る楽器以外はバッキングに徹するとか、そういう感じが普通ですけど。
白水「普通はそうですよね。ソロなんだから(笑)」
――でも誰も一歩も引かない。激しい曲では特にそこがカッコ良かった。
白水「そこは前から変わらないんですけど、ソロだと言い張るなら自分でソロにしろって(笑)。しかもファーストの時にはまだ、たとえばサックスのソロでも僕らは後ろには下がらないよっていうのがあったんですけど、今回はさらに進んで、ソロになると僕らもいっしょに前に出て行くという(笑)。最近のレコーディングはそうだよね。人のソロに全員が突撃しに行くからマジ大変みたいな。それは去年はなかったことだから、今年1年間でできたカゲロウの新しい武器かもしれない。人のソロとか人のAメロに突撃していくというのが(笑)。ジャズとかだと、そこでプレイヤビリティーを出すじゃない? 人のソロに反応してその裏でおもしろいことをやるとか、そういうのはあるけど。突撃感があるのがおもしろいよね」
Ruppa「みんなが先に行こうとするから。〈マジ?〉って」
白水「あれはカゲロウでしか聴いたことないなっていう感じ」
Ruppa「後出しは負けるんですよ」
白水「いまさら遅いよ、みたいな(笑)」
――厳しいアンサンブルですね(笑)。
白水「CDではブレイクにしてるところも、ライヴでは僕がわざと残ったりとか。本当はブレイクしてRuppaさんのサックスだけになるところを僕が邪魔するプレイをしてるから、それに対してRuppaさんがどうするのか?っていうところですよ
Ruppa「まあ、邪魔ですよね(笑)。邪魔したうえで持っていくという、どういう話なのか全然わからないけど」
白水「おいしいところを取りたいんだったらもう一個上を行ってください、みたいなところですよね」
Ruppa「別にいいんですけどね、おいしくならなくても(笑)。え~!?って思うだけで」
――激しく攻めるところは全員で突撃して、ムーディーな曲はとことんムーディーにいききってる。ファーストよりあきらかにダイナミズムが増してると思います。
白水「うるさい曲も静かな曲も、いろんなアプローチの仕方を覚えたのも、この1年間で身に付けたことだと思いますよ。ファーストの曲をライヴでいっぱい変えてきたことによって、そういう演奏が4人ともできてきたのかなっていう感じはします」
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