インタビュー

LONG REVIEW――TARO SOUL 『So Much Soul』

 

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TARO SOULの名を広く知らしめる契機となったのは、間違いなくKEN THE 390とのユニットで発表した『JAAAM!!!』と『FLYING SOUND TRACK』だ。彼は今秋、その黄金コンビで大型フェス〈Beat Connection〉のタイアップ・ソング“HeartBeat”を発表した。そして、同曲の生み出した追い風をキャッチして矢継ぎ早に作品を投下すべく、コンパクトにまとめられたのが今回のミニ・アルバム『So Much Soul』ということになるのだろう。Licanaを迎えた冬仕様のラグジュアリーなバラード“Spacial Thanks”と、先述の4つ打ちダンス・ポップ“HeartBeat”という冒頭の2曲は、いずれもキャッチーな起爆力を備えた、あらゆるリスナーにアピールするナンバーだ。

しかしアルバムは3曲目から、徐々にディープな色を帯びはじめる。鋭角なシンセを振りかざすアーバン・ソウル“Escape”を経て、“ほっとかないでbaby”では気鋭のフリースタイラー、あるまと共にヒップホップ的引用を散りばめたリリックを吐き出す。盟友のサイプレス上野とロベルト吉野やRomancrewらを迎えた“受賞者”は、ミドル・スクール期のヒップホップにフォーカスしたラフ&タフでいなたい逸品。そしてラストはライフ・ワーク化しつつあるシリーズ第3弾“現場でSEE YA! Pt.3”をライヴDJのDJ威蔵と共に披露し、タイトル通りのパーティー主義を掲げる。

デビュー以来、Bボーイという価値観に執拗なまでにこだわってきたTARO SOULだが、そのスタンスは本作でも変わらない。ポップ方面へと果敢に攻め込みつつ、いかにヒップホップたり得るか。ヒップホップをどうエンターテインするか……そういった命題に誰よりも真摯に向き合っている彼の姿が見て取れる作品だし、その意味で非常に誠実な一枚と言えるだろう。

 

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掲載: 2010年12月15日 17:59

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