インタビュー

MONOBRIGHT 『淫ビテーション e.p.』

 

MONOBRIGHT

 

[ interview ]

自分たちに対する無茶ぶり的な〈DO10!!の攻約宣言〉を絶賛攻略中のMONOBRIGHT。昨年10月に〈冒険〉という名のもとで〈自身内革命〉を起こした3作目『ADVENTURE』を発表した彼らが、たった3か月のスパンで次なるミニ・アルバム『淫ビテーション e.p.』を完成させた。しかも、散開したばかりのBEAT CRUSADERSの首謀者、ヒダカトオルとの年の差婚=メンバー加入というビッグ・トピックを経て、である。すでに春頃リリース予定の4作目『ACME』のダイジェスト盤も公開されているなかで制作された本作は、現在の編成における事実上の最新音源とも言えるわけだが、冒頭から聴こえてきたのは、カラリと晴れ渡った……ウェディング・ソング!? 相も変わらずぱつんぱつん状態の5人に話を訊いた。

 

 

〈ポップ〉という爵位?

 

――このたびは、まさかの電撃結婚……もとい、新メンバー加入劇でしたが。

ヒダカトオル(ヴォーカル/ギター/キーボード)「嘘だもんね(笑)」

桃野陽介(ヴォーカル/ギター/キーボード)「嘘じゃないですよ! 元々僕ら、〈DO10!!の攻約宣言〉っていう、2011年の夏ぐらいまでのスケジュールを先に発表して有言実行する、みたいなことをやってて、そのなかで3枚目の『ADVENTURE』と4枚目の『ACME』を出すっていうのがあって……」

ヒダカ「半年で2枚、キツいね(笑)」

桃野「そう、ハードな……っていうか、その3枚目と4枚目をガラッと変えたいなっていう気持ちがあって。そういうときに、ちょうどっていったらアレですけどBEAT CRUSADERSの散開という話を聞いて」

ヒダカ「ふざけんなよ!」

桃野「まだ怒るところじゃない(笑)。それで、ディレクターかプロデューサーとして入ってもらったらどうか、みたいな話があったんですけど、プロデューサーだとヒダカさん、けっこういろんなバンドやってたりとかしたんで」

ヒダカ「イッソン(磯部正文)とかGOING UNDER GROUNDとかメロン記念日とか」

桃野「どうせやるならいままでやってないことをやりたいって気持ちもあったので、〈やるならメンバーで〉っていうノリの話をしてたら、意外と一発でOKみたいな。それで急遽、5人編成で4枚目を作るということに」

――確か、3枚目と4枚目のアルバムは、制作が連続してましたよね。

桃野「曲作り自体はしてたんですけど、それをどういうアレンジにするかはまったく決めてなくて。そのままツアーに出て、帰ってきて〈どうする?〉って思ってたら」

ヒダカ「政略結婚が行われてたっていう感じ(笑)」

桃野「いやいやいや、純愛結婚でしょ(笑)」

ヒダカ「俺の伯爵号が欲しいの? 〈ポップ〉という爵位が」

桃野「〈ポップ〉っていうのは憧れる。それこそBEAT CRUSADERSは、僕らがデビューからめざしている〈いろんな音楽をポップに消化する〉ということをやってたバンドだったんで、〈これは直に学べるし、いいぞ〉というノリもあって、めでたく結婚(笑)」

――(笑)では全員にお訊きしますが、ヒダカさんとの結婚話が持ち上がったときにはどう思いました?

出口博之(ベース)「単純に〈おもしろいな〉っていうのが第一印象で。MONOBRIGHTを始めてから、自分たちには外に向いてる目がなかったな、と思ってて。4人のなかで完結しちゃってるっていう。札幌で活動してた時期もそんなに長くなかったので、いろんなノウハウを知れたら新しい刺激があるんじゃないか、ってまず最初に思いましたね。バンドマン同士なので話も合うし、いままで同じレーベルの先輩としていろいろ教えてもらったりもしてたので、同じ場所に立てるっていうのは嬉しかったです」

ヒダカ「タッキー(瀧谷翼:ドラムス)以外の3人とはけっこう会ってたんで。ライヴに行けばいたり、いっしょに焼肉食いに行ったり、家呼んで要らないCDあげたり。ドラムの人だけがいなくて(笑)」

――どこにいるんですか?

瀧谷「家に。こもってるのが好きなので(笑)」

――ヒダカさんに一言お願いできますか?

瀧谷「すごい勉強させてもらってます。制作作業も含め、普通の会話術とか」

桃野「会話術学んでたんだ(一同笑)」

――では、その成果は次回の取材のときに確認させていただくとして、松下さんは?

松下省伍(ギター)「出口の話とかぶるんですけど、僕らが楽しいと思っている音楽とか感性とかをそのまんまお客さんに伝える技を勉強するというか。それができて初めて〈ポップ〉だと思うんで」

――ではMONOBRIGHTに加入することで、ヒダカさんとしては何ができると?

ヒダカ「まずBEAT CRUSADERSが散開したのでね。BEAT CRUSADERSをやりながら他のバンドに加入はないじゃないですか。さすがにそれは片手間だと思われちゃうだろうし。でもいまだったら、リーダー・バンドじゃないところに自分がいるのも、リーダー・バンドじゃないところでどこまで自分の色を出せるかっていうところでも、自分は人の色をちゃんと塗れるのか、っていうところでも、どう転んでもおもしろい。よく考えたら俺にデメリットはまったくないんですよ。それって実はなかなかないことなのかなと思ったんで、二つ返事でOKしました。散開インタヴューでもギャグとして〈ストレイテナー入れてくれ〉とか〈氣志團に入る〉とか嘘ついてたんで、そのノリの一貫として本当に入ったらおもしろいんじゃないかと」

桃野「ケイタイモさん(が入る)っていう噂はありましたけどね」

ヒダカ「(笑)薄々わかってると思いますけど、異常に不器用なんですよ、この4人は。笑い飯とパントマイムしてる、みたいな。桃野が延々とボケ続けるんだけど、他の3人はパントマイムだからセリフがない、みたいな感じで、誰もツッコまないんですよね。そこに俺が入ると、ブラマヨの小杉ばりのレシーヴでなんでも拾っていきますから」

――(笑)そういったフォローも加わったと。制作の話に戻りますが、では『ACME』のアレンジからヒダカさんが入られた?

ヒダカ「そうですね。散開してからの、9月4日以降の作業だったので急ピッチでがんばって」

桃野「メンバー加入って、元々公約してないことですからね。だから猛烈にやりました」

 

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掲載: 2011年01月12日 17:59

更新: 2011年01月12日 21:22

インタヴュー・文/土田真弓