INTERVIEW(4)――みんなを楽しくご招待
みんなを楽しくご招待
――続く5曲目の“スロウダイヴ”は、シューゲイズな楽曲で。解説には〈音を足していったら轟音になった〉とありますが。
桃野「これは『ACME』にも入る曲で、そこでもシューゲイザーを意識してたんですけど、さらに今回は、なんならマイブラをそのままやっちゃてもいいんじゃないかって、セルフ・リミックスを初めてやったっていう」
ヒダカ「バカや明るさだけじゃないぞ的な意味も。暗い曲は何か入れようって言ってたんですけど、あらためて暗い曲を作るよりは、アルバムの予告編として、この曲をリミックスしようかみたいなところがスタートですね」
――そして最後は有頂天“オードリー・ヘプバーン泥棒”のカヴァーです。これはどなたの選曲ですか?
桃野「これは“英雄ノヴァ”からやっているカヴァー・シリーズで、みんなでいろんな曲を出し合ってるなかで〈雰囲気がいいね〉っていうことで採用になったんですけども」
ヒダカ「世代的には俺が出したと思われがちなんだけど」
――あれ? となると、どなたが……?
出口「それが、僕だったんですよ。僕、80年代の音楽がすごい好きなんです。いろんなバンドがガーッて出てきた時代ですけど、バンドの楽しさだったりとか、熱量っていうんですか? あと、貪欲な感じ。バンドをやっていくうえでカッコいいな、って思える要素が80年代のなかに凝縮されていると、僕は思っているんですよ」
ヒダカ「でーさん、ホント老けてるよね(笑)。俺の時代の音楽がすごい好き。BOOWYとかthe pillowsのこと、俺より知ってるし」
出口「パッと見はキラキラしてるんだけども、どこか影のある感じっていうんですか。諸手を挙げて喜べないみたいな。そういう部分がすごい好きで、いまもバンドをやっているっていうのがあるんですけど、そういう部分はMONOBRIGHTにも感じてたりしていて。曲を選ぶときは大体その基準です。それで自分が聴いてきたものを聴き返したときに、〈あ! これだ!!〉って思ったのが有頂天だったんですよね。すごく明るいのに切なくて」
――出口さんがナゴム好きとは。それって、バンド・ブームの少し前からちょうどバンド・ブームくらいの頃ですかね。
出口「はい。それでバンド・ブームが終わると、急にバンドの勢いがなくなって。その落差もすごいじゃないですか。そのなかでも〈バンドしかないんだ〉って言ってる熱量だったり姿勢だったりがカッコいい。自分もこうありたいな、っていうところはあります」
ヒダカ「それって、さらに一回りしたOKAMOTO'Sとかとも合致してるんだろうね。リアルタイムで観てないからこその渇望感みたいなものをすごい感じますよね」
――桃野さんも、ナゴム周辺は聴いてそうですよね?
桃野「教えてもらうまで有頂天のことは知らなかったんですけど、聴いてみたら〈自分が聴いてそうな感じだな〉って思いました。で、歌ってみてもしっくりくるし、大好きだし、やっててなんの違和感もなかったですね」
――これで全曲を振り返りましたが、1曲目から6曲目まで通すと、弾けて始まり弾けて終わる、といった構成ですね。
桃野「そうですね。結婚がテーマで」
――で、タイトルが『淫ビテーション e.p.』。
桃野「ちょっとエッチな部分もありつつ、みんなを楽しくご招待っていう」
ヒダカ「『ACME』に“淫ピーDANCE”って曲が入ってるんですけど、まっつんがギター録ってるときに〈インピーダンスをいじってホニャララ〉っていう話をしていて、そのとき、インピーダンスって言葉を久しぶりに聞いたな、と思って。たぶん80年代のYMOのシンセ本以来なんですけど、よく考えたらすごいおもしろい単語だなって。じゃあ曲のタイトルにしよう、でも、ただのインピーダンスじゃおもしろくないから〈イン〉を〈淫〉で、って。『淫ビテーション e.p.』は、それの発展型です。漢字と変な英語の組み合わせがおもしろいっていう、バンド内ブームでね」
――そして、トータルとしてはとてつもなく陽性の一枚が出来上がったと。では最後、どなたかに締めていただこうと思うのですが……瀧谷さん、お願いできますか?
(メンバー全員、瀧谷を励ます)
瀧谷「あの……ヒダカさんが入って一発目、ハッピーなものが出来たので、みんなに聴いてもらえればと思います」