BREMEN 『SKIN』
[ interview ]
エリーのしなやかな歌声とバレアリックなサウンドでダンス・ロックの新たな可能性を切り拓く3ピース、BREMEN。ニュー・アルバム『SKIN』は、〈素肌〉というタイトルの通り、温かみとしなやかさが伝わる、心地良くも昂揚感溢れる一枚に仕上がった。今作から日本のクラブ・ミュージックを代表するレーベル〈KSR〉に移籍。ドラムンベースやダブステップも消化/吸収したアルバムは、ポップな感触とフェスの現場やクラブのフロアでも機能するビート感を併せ持つ〈全方位型〉のダンス・ミュージック作品となっている。大きな成長を果たしたバンドの〈いま〉を、エリー、ハイオカ、コージローの3人に訊いた。
ずっと模索していた
――アルバム『SKIN』、すごく良かったです。いわゆるテンションの高さで勝負するようなダンス・ロックのテイストはないんだけれど、そのことがクォリティーの高さに繋がっている気がします。
ハイオカ「嬉しいですねえ」
エリー「柔らかくなったっていうのは、いろんなところから言われますね。自分でも、しなやかだけど、ゆったりした感じがあると思う。BPMとしても速くないし、テンションの高さで勝負する感じがない、というのはわかるなって」
――bounceでは初めてのインタヴューになるので、まずBREMENがなぜダンス・ミュージックをやろうと思ったかという、根っこの部分から訊いていこうと思うんですけれども。出身地はバラバラなんですよね? 出会って、どういうところに共通した感覚を感じたんでしょう?
ハイオカ「共感したのは、やっぱり人間的なノリですね、最初は全然音楽で繋がってなくて」
エリー「スキューバダイビングの仲間がいて、そのなかでも目立ちたがり屋だったんですよ、3人とも。人一倍飲んでやるとか、人一倍盛り上げたいというところで繋がった(笑)。で、ハイオカが元々DJをしてて、テクノでありながらも女性ヴォーカルを入れた音楽をやりたいというのがまず彼の根幹にあって。それに賛同した感じですね。」
――最初にこの3人で結成した時には、どういう音楽をイメージして始まったんですか?
ハイオカ「高校生のときにDJという表現の仕方に出会って、すごく感動したんです。楽器を弾けなくても、機材を使って打ち込んだりしていくことで好きな音楽を作っていけるんだっていう。そのことがすごく楽しくて。アンダーワールドとか、その時に聴いていたエレクトロニックなアーティストには自然に影響を受けましたね」
――2006年にデビューしてからは、苦闘した時期もありましたよね。特に前のアルバムから今作までの2年半にはレーベルを離れた時期もあったわけですが。
エリー「その時々で、いま自分たちがどんな場所にいるのか、よくわかってなかったんですよね。〈自分たちってどうなんだろう?〉とずっと模索していたんですよね。落ち着かないというか。わからないところがずっとありながら曲を作ってて、それが最初の頃。で、前のレーベルにはずっとおんぶに抱っこだったんですよ。だから、レーベルを離れて、初めて〈自分たちがしっかりしなきゃいけないな〉って思えたんです。自分たちでイヴェントを企画するようになったりして、やっと地に足の着いた感じがした。そうして、いまのKSRというレーベルと出会えたんです」
コージロー「一度、3人に戻って考え直そうぜ、って感じになった時期があったんですよ。だから、その時期は孤独でしたね」
――自分たちのアイデンティティーが何なのか?という部分を突き詰めていたという?
エリー「そう。で、もっといろんな場所でライヴをしたいとか、海外を知りたいとかも思って。いままで、対バンが見つかりにくいフィールドでやっていたんですよ。でも、そういう枠組みも必要ないなと思って。もっと広い世界を見たいし、知らないところに踏み込んでいきたいと思った時に、海外のディストリビューションもやってるKSRというレーベルが観にきてくれたんです」
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