インタビュー

LONG REVIEW――踊ってばかりの国 “アタマカラダ”

 

踊ってばかりの国_アタマカラダ_J

両A面の前作『悪魔の子供/ばあちゃん』は2曲とも肩の力が抜けたポップ・ナンバーだったが、本作は彼らの持つもうひとつの側面、サイケデリック・バンドとしての踊ってばかりの国を代表する曲となるだろう。曲の途中までは“アタマカラダ”もミディアム・テンポの歌モノで、〈アタマカラダ〉という合唱コーラスが牧歌的なムードを作り出しているのだが、3分30秒を過ぎると一転、ディアハンターのごとく強烈なノイズ・ギターが立ち現れるのである。ポップな歌モノと濃厚なサイケデリア、やはりこの両面があってこその踊ってばかりの国であり、この2枚のシングルによって、アルバムに向けてのイントロダクションが出揃ったと言えよう。

そしてもうひとつ、本作を聴いて感じたのが、彼らとレディオヘッドの関係性である。よく比較対象に挙げられるRCサクセションやボ・ガンボスといったバンドより、どちらかというとデヴェンドラ・バンハートを筆頭に、USインディー・シーンと共振しているということは徐々に知られてきたように思うが、僕が“アタマカラダ”の後半部分を聴いて真っ先に思い浮かべたのは実はディアハンターではなく、レディオヘッドの“Just”だった。ギターのコード感や音色にはそれが強く表れていて、またこの曲でも相変わらず〈死〉を見つめている下津の視点というのは、トム・ヨークのそれとも通じるように思ったのだ。後日、本人にレディオヘッドについての質問をしたところ、やはりレディオヘッドのファンであり、ギターの滝口はジョニー・グリーンウッドの大ファンであることを教えてくれた。どうやら、彼らにはまだまだ重層的かつ多面的な魅力が隠れているようだ。

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年01月19日 18:01

更新: 2011年01月19日 20:41

74353