LONG REVIEW――雅-MIYAVI- 『WHAT'S MY NAME? e.p.』
音楽雑誌で時折出てくる〈インタープレイ〉という単語。即興性の高い音楽の評論で目にする機会が多そうだが、意訳すれば〈相互作用、相乗効果〉だろうか。プレイヤーがお互いの演奏に刺激を受け、丁々発止のやり取り(音楽的会話)を繰り広げることで、そのサウンドの魅力が増す……演者たちの心・技・体が揃って初めて可能となるこの状態を、本作『WHAT'S MY NAME? e.p.』では明快に、そして強烈なパワーを伴って提示している。
そもそも雅-MIYAVI-のチョッパー奏法とBOBOのドラムが基本の前作『WHAT'S MY NAME?』に、ベーシストは存在しなかった。その表題曲に、日本を代表する個性派ベーシストたちを招いて複数のヴァージョンを作り上げたのが、今回のリカット・シングルである。
初回盤にはオリジナルの“WHAT'S MY NAME?”に加えて、異常にアタックの強いフリーキーなプレイのMIYA(385)、アップライトベースでしなやかなファンクネスを繰り出すTOKIE、フレッシュな躍動感と高度なテクニックを兼ね備えたKenKen(RIZE)が参加した計4ヴァージョンを収録している。
そして通常盤でも、ゴリゴリと攻撃的に攻める吉田一郎(ZAZEN BOYS)、19歳ながらコシの強いファンクネスを堂々とブチかますハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、群を抜いて強靭な音を鳴らす日向秀和(ストレイテナー)が参加。ゲスト個々の解釈で付与したビートが、楽曲を爆発的に(そして多方面に)ブーストさせた、最高にアグレッシヴでクレイジーなセッションばかりだ。
何より、高い技術と表現力を持つベーシストたちが、日本人としてのアイデンティティーを独自の音楽表現として具現化せんとする雅-MIYAVI-のスピリットに共鳴したからこそ、このスリリングなインタープレイが形になったのだ。