インタビュー

 

勢いを大事に

 

――ただ、今回はそれぞれ同じタイミングにアルバムをリリースするという超タイトなスケジュールなわけですよね。普通に考えると〈お互いのプロジェクトもあるし、やりたいけど落ち着いたらやろうか〉みたいな選択肢もあったと思うんですけど。実現に至ったいちばんの理由はどういうところにあったと思います?

「やっぱり、思いつきで始まったことなんで、勢いは大事にしたかったんですね。実際、本当にそれぞれが佳境の時だったんですよ。それでも、やり遂げられる自信がお互いにあった。自分のプロジェクトがおろそかになっちゃうんだったらやらないほうがいいなと思ったんですけど、むしろお互いが刺激し合えて、それぞれの作品にフィードバックできたんじゃないかと思います。こういうユニットって、正直、計画的にやるものじゃないと思うんです。これをメインに活動していくつもりはお互いになかったし」

涼平「こういうときは根性でいったほうがいいんです(笑)。体力的な部分はいくらでもがんばればリカバーできるけど、精神的な部分をすり減らしちゃうとお互いの活動に影響が出ちゃうから。根性で乗りきれる分だけやろう、と。そしたら乗りきれちゃいましたという」

――なるほど。勢いと根性だったんですね。

「そうです。風貌に似合わない体育会系のノリでした(笑)」

涼平「体育会系でしたね。特にレコーディングは。葵くん、相当キツそうだったし。ヴォーカルだから喉を使い続けるわけで」

「セカンド・シングル“surrender love”のリリースでキャンペーンもあったんで。お互いタイトでしたね」

涼平「レコーディングが終わったら、そのまま岡山に移動とか(笑)」

「シビれるスケジュールでしたね」

――実際、曲が完成したのはいつ頃だったんですか?

涼平「12月の頭でしたね。6日にイヴェントが決まってたから(5,000人が集結した新宿アルタ前広場でのゲリラ・ライヴ)、それまでに書き上げようという話で。でも話をしたのは11月の真ん中くらいだから、そこからすぐに曲出しをして。曲が上がるまで実質1週間くらい。超ギリギリでしたね」

「まずアルタ前でサプライズ・イヴェントをやろうって。でも曲がない!ということになって。そこで最初の目標が設定されたという」

――そういうタイトなスケジュールだからこそ、いちいち計画を立ててみたいなことをやってられないエネルギーがあったと。

「涼平くんと彩冷えるを始めた頃って、初期衝動のままに活動してたんですよ。9か月連続リリースとか。そういう頃のパワーをもう一度、この環境でできたらすごいと思っていて。最初は絶対に不可能だと思ったんですよ。レーベルも違うし、お互いの活動もあるし。そんななか、いかに真剣に遊ぶことができるのかというのをやってみて。不可能はないんだな、というのを感じましたね」

――“モノクローム”の曲では、お2人の音楽的な要素が絶妙に融合していると思うんです。葵さんのメロディーの歌謡性、涼平さんのヘヴィーなサウンドが打ち消し合わずに共存している。そういう曲が1週間で出来上がるのもすごいと思います。

「もともと涼平くんの曲を歌ってきた過去の経験もありますし、涼平くん自体、僕の良さを把握してくれているので。そのまんま、自然に歌えた感じですね」

――“モノクローム”という曲は、自分のプロジェクトと比べて、どういうところが違うと思いますか?

涼平「これは純粋にプレイヤーとしての目線なんですけど、今回は7弦ギターで半音下げというヘヴィーな音を使っていて。そういうメガマソでは試みていない音楽的なアプローチをしながらも、サビではメロディアスな感じに仕上げられたというのが、自分のなかでは挑戦できたところかな。メガマソは6弦ギターを使って、もっと生々しい感じを強くしているので」

「僕は普段ソロで歌い手としてやっているので、久しぶりにバンドのなかに入って歌うというのは楽しいな、バンド・サウンドはやっぱりいいな、って再確認しました。自分のフィールドに戻ってきたときも、そこはフィードバックできてるんじゃないかって思います。バンドはもうやらないですけど、涼平くんとバンド・サウンドを奏でられたことで、バンドの良さを再確認しつつ、それに負けないような歌を歌っていかなきゃいけないなとも思いました」

 

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掲載: 2011年02月16日 18:00

インタヴュー・文/柴 那典