INTERVIEW(3)――ここを超えていきたい
ここを超えていきたい
――本当にギリギリのタイミングだったんですね。周りからみると、その時の状況はどうでした?
沙田「ほんとに書かなきゃいけない曲だったんで。〈幸子、時は来たぞ~!〉って思ってました(笑)。でも、ちゃんと持ってきてくれて、しかもすごく幸子らしい詩になってたんで、良かったですね」
――夜中から朝に向かっていくイメージというのは最初からありました?
蒼山「いや、全然なかったですね。最初はもっと違う情景を思い浮かべたりしていたんですけど。でも、そういうのも関係なくなって。自分の素直な気持ちを書こうということになって〈自分はいま、何を大事にしてるんだろう?〉って考えたら、ただ〈ここを超えていきたい〉って気持ち、それしかないなって思って」
――西島大介さんの「世界の終わりの魔法使い」からヒントを受けたという話も聞きましたけれど。これはどういうところが?
蒼山「西島さんの本って、いつの時代とか、どこの世界とか、そういうのが特定されていないんですね。でも、それがなくても、確かに残るリアルさ、伝わってくるものがあって。誰にでもわかりやすい状況設定がなくても伝わるんじゃないかっていうのが、西島さんの漫画から教えてもらった感じですね。時間とか場所を特定しない抽象的な言葉だったとしても、オケやメロディーも含めた雰囲気で伝わるものがあると思ったし、私はそういう書き方をしていきたいと思えたので」
――そういう表現が自分にとって〈いいな〉と思えるのは、昔からですか?
蒼山「高校生の頃からそうでした」
――カップリングの“彗星シロップ”もそうですけれど、蒼山さんの歌詞って、宇宙を題材にするような、SFっぽかったりファンタスティックだったりするテイストがありますよね。
蒼山「宇宙みたいな感じは、もともと好きですね。自分が高校の時にすごく好きだった地元のバンドが、宇宙のような抽象的な言葉を歌っていて。それを観たときに、すごいなって思って。これで表現したいって思って。ただ単に、いちばんグッときたんですね。宇宙って、空に見える宇宙だけじゃなくて。人の身体のなかにあるエネルギーみたいなものも宇宙って言えると思うし。広い意味があるなって感じているので、自然とそういうワードが多くなっちゃうのかもしれないって思います」
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