INTERVIEW(4)――届いているという実感
届いているという実感
――作曲する側にとってはどうでしょう? 歌詞とメロディーが加わったところで、自分の書いた曲のイメージが広がるような感じはあります?
沙田「例えば“フレンズ”は〈友達の曲にしたい〉って言って歌詞を書いてもらった曲なんですけれど、そういうふうに自分の持っているイメージを伝えることもあります。でも、大体は幸子の歌詞のイメージで、やっと曲が完成するというか。それが楽しみで曲を作ってるところもありますね。オケだけじゃ曲の良さって判断できないんですよ。合わさったときに〈印象変わるなぁ!〉って思いますね」
――ちなみに、“カロン”という曲のタイトルは?
蒼山「全部出来上がってからつけました。“カロン”というのは星の名前なんです。星の名前がいいなと思って調べていったら、出てきて。響きもいいなと思ったし。カロンって、冥王星の衛星で、一定に向き合いながら回っているというイメージが〈未来の自分〉と〈今の自分〉って感じもするかなって思って」
――“カロン”を最初にライヴでやった時の手応えはどうでした?
蒼山「届く曲になったと思った瞬間はありましたね。去年の6月にプレ・ワンマンをやったんですけど、その時に16曲くらい曲を演奏して。その時がねごとを楽しみに来てくれたお客さんへの“カロン”の初披露だったんです。で、アンケートをとったら、“カロン”の評判がいちばんに良くて。“ループ”を超えられる曲になったとも思ったし、人に届く曲になったという実感がすごくして。自信を持てるようになりました」
――去年はファースト・ミニ・アルバムもリリースして、初のワンマン・ツアーもあり、いろいろな体験をすると同時にバンドとしての意識が変わるきっかけもあったと思うんですけれども。振り返ってどういう実感がありますか?
蒼山「ほんと、いろいろあったなって思います。時間としては短いかもしれないけど、いろんなことが詰まってる時間だったと思って」
――外側から見ていると、バンドとしてすごく成長を果たしているように見えます。
蒼山「充実感はすごくあります。ねごとの曲を口ずさんでいるお客さんの姿を見たりすると、嬉しいし、自分たちだけの音楽ではなくなっているんだということもすごく感じて。“カロン”を作ったときに、一つ枠を超えられたという感じもあって、いまは曲作りもすごくスムーズに進んでるんです。それぞれ個々がレヴェルアップしながらも、一つのいいものを作っていけている気がします」
――ちなみに、いま作っている曲はどんな感じなんでしょう?
沙田「いろいろ作ってますね。ほんとに“カロン”以降の曲はスムーズに出来てる実感がある。フザケてるような曲も真面目に作れてるし(笑)。曲で出す温度というのを、みんなでうまく操縦できるようになったというか。この曲には思いを込めたいとなったら、みんな熱心にやったり。でも〈何、そのベースライン?〉みたいなのを持ってきたり。楽しいですね」
藤咲「ねごとはいろんな曲調の曲があるから、こういう曲は苦手だなぁとか、こういう曲は作りやすいな、とか、いろいろあって。でも、苦手な曲でも立ち止まっちゃいけないから。新しく考えて作っていくときに、おもしろいラインが生まれているんです」
沙田「まだまだ、何が出てくるかわからないですよ(笑)?」
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