INTERVIEW(3)――中途半端になるよりは、思いっきりスミスで
中途半端になるよりは、思いっきりスミスで
――本作は、ぼんやりとした夜のムードに包まれていながらも、楽曲の振り幅は広くて。そういったところは、アレンジの段階で調整していくんですか?
長谷川「大まかにアレンジを決めて、細かい部分に関しては、実際のレコーディングに入ってから詰めてくことが多かったですね」
――実はですね、このアルバムを聴いていて、あのバンドのあの作品を思い出す……という箇所が、いくつかありまして(笑)。最初にお話したマイブラがわかりやすさの頂点として、他にも……。
長谷川「ああ(笑)、ちょいちょいありますよね」
有村「スミスとかですか(笑)?」
――また先に言われてしまった(笑)。“バンビ”ですね。
有村「半分遊びなんですけどね(笑)。曲を作ったのは正くんなんですけど、歌詞を書いたのは俺で。“バンビ”は自分のなかで、なんか大きかったんですよね。なんて言うんだろう? その曲に盛り込みたかった要素が、たまたまパッて閃いちゃったんで……だから中途半端にやるよりは、思いっきりスミスを意識したようにやってくれ、って注文しました」
長谷川「結果的に〈まんま〉になったね(笑)」
有村「〈まんま〉でやりたかったから(笑)。もう、ホントにサンプリングに近いですね。それって曲に自分の気持ちがどう乗るかによって、やる意味があるというか。それがたまたまスミスっぽい雰囲気だったっていう。まあ、全部こういうやり方をするわけにはいかないけど(笑)、こういう曲があってもいいのかな、って。だから、この曲はアレンジの段階で、曲が出来たあとにスミスを持ち込んだ、って感じですね」
――〈これ、スミスだ〉っていうニュアンス、ありますからね。
長谷川「そうですね。コード感だったりとかね。“バンビ”はもう完全に、自分のなかではもうUKギター・ロックの、胸がキュンキュンするような曲にしたいなーと思ったんで」
――めちゃめちゃキュンとします。こういう遊び心というかルーツが見える曲って、聴いていて楽しいです。
有村「そう思ってもらえると嬉しいですね(笑)」
――他にもそういう曲があったりしますか?
長谷川「個々で、プレイする段階ではあるかもしれないですけどね。フレーズとか。何々っぽく、とか(笑)」
――例えば?
長谷川「俺、けっこうそういうのあるんですけど、もう言ってしまうと“アイラヴュー・ソー”とかは、完全にプラシーボだな、って。プラシーボとニルヴァーナの合体みたいなつもりでやったりとか。ただ、そこも脳内再生なんで、実際に聴いて、っていうよりは、〈こんな感じなんじゃないかな?〉ってイメージして」
――“アイラヴュー・ソー”って、コーラスワークの雰囲気からポウジーズを思い出したりもしましたけど。『Frosting On The Beater』(93年)あたりとか。
長谷川「ああ~、うん。確かにそのへんのパワー・ポップのニュアンスもあるかも」
有村「俺としてはただ〈ロックンロールを作ろう〉っていうイメージだったんですけど(笑)。でも、プラシーボはわかりやすいかもね」
長谷川「ぶっきらぼうな感じとかね」
有村「1枚目(96年作『Placebo』)ね」
長谷川「そうそうそう」
――ナカヤマさん作曲の“アリア”も“アイラヴュー・ソー”と地続きというか、年代としても同じぐらいなサウンドですよね。
長谷川「うん。ああでも、もう少しモダン・ヘヴィー・ロック寄りなのかな? なんか、そういう聴かれ方って新鮮なんですけど、そうやって聴いてもらうのも楽しいかもしれないですね」
有村「楽しみが増えるよね。俺も人のやつとか、そうやって聴くの、好きですもん」
長谷川「ね? 発見がいろいろあったりね」
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