INTERVIEW(2)――リハビリとして作った曲から
リハビリとして作った曲から
――そして今回の『ニニニニ』ですけれども、前のアルバムから数えると2年5か月。少し時間が空きましたね。
「そうですね。シングルを2枚切った時に、やりたいことがあって。なんか、1分ぐらいの曲を20曲ぐらい作って、〈嘘つきバービー語〉みたいなのを……例えば〈ぷるるるるんる〉みたいな、タイトルなら〈ウミグリス〉みたいな、そういうわけわからん単語を説明する曲――〈ぷるるるるんる〉はこういう意味なんですよ、って歌詞で説明してるっていう、国語辞典みたいなアルバムを作りたかったんですよ。で、その次のアルバムでは、その単語が歌詞のなかに普通に出てきて……ってことをやりたかったんですけど、それをやってる途中に、僕、病気しちゃって」
――ああ、そうでしたね……。
「うん、それで休みの期間があって。で、また作ろうってなった時、もうそれをやることに飽きちゃってたんですよね。ゼロからまた作り直したから、空いちゃった、っていう。ホントはもう1枚あったはずで」
――そのゼロからの再スタートは、どのようなものだったんですか?
「ちょっと、リハビリという意味で曲を作ったんですよ。それが“イワとイイ関係”なんですけど、この曲にやりたいことを詰め込んだんですよね。これ、登場人物が全部、前のアルバムとかに出てくる人たちなんですよ。それってさっき言った、〈20曲の手法〉じゃないですか。これを作った時に、〈なんか、とりあえず出来たね〉って言って、〈じゃあ、こんな感じでもう1回作ってみようか〉っていろいろ作っていくうちに出来た、っていう感じなんです。だから、今回のアルバムにしっかりとしたテーマっていうものはなかったですね」
――“イワとイイ関係”でもともとやりたかったことをやり切ってしまって、その他の新曲については、バンドに出した課題はなかったんですか?
「これまでの作り方を洗練させたぐらいですかね。アルバムのタイトルの『ニニニニ』も、総称的なものを付けたくなくて、ホントにいちばん意味のない言葉を考えて。1本の線がバーッて並んでるだけだし、イントネーションもないし、っていうところで付けたっていうのがあるんで」
――〈ニ〉枚目のフル・アルバムの〈ニ〉でもない。
「ないんです」
――(笑)では、今回の制作はスムーズにいきました?
「僕がストーリーを書いて、他のメンバーに渡すと、ギターとか乗せてくるじゃないですか。そこから、〈こう?〉〈違う〉〈こう?〉〈違う〉っていう繰り返しがすごく長いんですよ。で、そのなかで僕が〈それ!〉って言ったらもう、すぐ出来上がるんですけど……だからいっしょですね、いままでと」
――そういう作業のなかで、今作でいちばん大変だった曲はどれですか?
「ああ~、“イワとイイ関係”ですかね」
――やっぱり最初の、ある意味での突破口にあたる楽曲ですし。
「うん。最後までやってましたね、いろいろと。最初に出来て、ライヴで何回かやって、そのなかでけっこう変えていったんですよね……リフ自体もたぶん、変わったな」
――既発の曲では“ひざにペット”や“ねこ子”を録り直してますね。
「そうですね。まあ、簡単に言うと納得がいってなかった、っていうのがあるんですけど、おもしろいことも浮かんだし、やってみようか、みたいなノリですね。〈バランスがとれない~〉っていっぱいの人たちで言ってるみたいな。そういうのがやりたい、って。ホントは全曲録り直ししたいんですよ、僕は。いつも、シングルと別の感じでやりたいっていうのがあるんですけど、ただ違うふうに録るには前のものを超えなくちゃいけないんで、それが面倒臭かった」
――面倒臭いって(笑)。“ねこ子”については?
「“ねこ子”に関しては、録り音がすごい変なふうになってたんで、それも良かったんですけど、ちょっとクリーンな音でも録ってみよう、っていう」