INTERVIEW(2)――5人が好き勝手に持ち寄ったサウンド
5人が好き勝手に持ち寄ったサウンド
――5人のバックボーンが有機的に絡み合ってlynch.の音楽になっているわけですよね。じゃあ、皆さんそれぞれの音楽的なルーツを教えてもらっていいですか?
玲央「ロックに対しては、テレビでX JAPANを観たのがいちばん大きいんですね。〈こんなに刺激的なものがあるんだ〉と知ったという。そこから僕はCDのコレクターみたいになって、家にも2,000枚くらいCDがあって。本当にいろんなものを聴いてるんです。2000年代前後のヘヴィー・ロックやスクリーモも聴いているし、80年代のニューウェイヴやポジパンやゴスも好きで。だから“THIS COMA”の80年代的なフレーズも、自然に出てくるんです。学生時代に友達がハードコアのバンドをやっていて、そういうところにも出入りしていましたし」
晁直(ドラム)「僕はどちらかと言うと、音楽に目覚めてないんですよ(笑)。何かを観て音楽をやろう!と思ったことはなくて。まあ、ただ確かに2000年前後のヘヴィー・ロックにはすごく驚愕したんで、やっぱりそこに刺激されている部分はありますね。それでも、何かに影響を受けているというのは、僕がいちばん少ないとは思います」
悠介(ギター)「僕は、両親が洋楽好きで、小さい頃から聴いてきたんです。父親がUSロック、母親がUKロックを聴いてたんですけど、自分で気に入るサウンドはUKのほうが多くて。それが自分のなかでは元になっていますね。いまでもCDを買うのはUKのバンドのほうが多いし。軸になる部分はそこだと思います。UKならではの、少し暗い感じというか」
明徳(ベース)「僕は、最初はロックに興味なくて、広く浅くいろいろ聴いてたんです。レゲエとかヒップホップから、TVで流れるポップスまで。でも、あるとき黒夢のライヴCDと出会って、ロックを聴くようになって。そこからラウド・ミュージックのブームがきて、どっぷりハマった感じですね。その後、ちょっとしてからバンドをやりはじめて、lynch.ってバンドを知ったんです。初めて観たときに、ロックの美味しい要素を集めた格好良いバンドだなと思って。僕の世代の名古屋のバンドマンにとっては、lynch.は憧れに近いバンドだったんです」
――なるほど。5人がそれぞれのバックボーンを持ちながら、どこかでヘヴィーなもの、ラウドなものというクロスポイントはあって、そのうえで、個々の好みや人間性やセンスを自由に組み合わせてこの音楽が出来上がっていると。
玲央「まさしくその通りです。みんな好き勝手持ち寄ってできたのがlynch.の音楽だという」
――基本的には葉月さんが曲を作って、5人でアレンジするという感じなんですよね。最初の段階で完成形は見えているんでしょうか?
葉月「デモの段階で曲として認識できるくらいのものにはなっているんですけど。まずそこで曲を憶えてもらって。個性を出すところは出してもらって。あえてラフに作っていくところもあるんで、土台は作って料理してもらう感じですね」
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