インタビュー

INTERVIEW(3)――より激しい変化を

 

より激しい変化を

 

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――アルバムが出来上がっていく流れについても訊きたいんですけれども。昨年の9月にはインディー最後となるシングル“JUDGEMENT”を出してますよね。そのあたりでは、メジャー進出に向けて自分たちをどう進化させていくか、というイメージはありました?

葉月「メジャーにいくことに対して何を意識したかというのはよく訊かれるんですけど、とにかくインディーの頃より激しいものにしたいということが、まずいちばんにありましたね。メジャーだからこそ激しく変化したい。それがひとつありました」

――アルバムは、激しいだけじゃなくて、生々しい感じというのも前面に出てきていますよね。いい意味でより極端になっている、というか。尖ったものになっている感じになったと思うんですが。

玲央「アルバムでも、1曲1曲が持っているカラーというのはすごく意識しているんで。緑はより緑に、青はより青に、赤はより赤になった。無駄をなくそうと思ってやってるんで。ギターのラインもどんどん減る方向に変わってる。どんな色でもlynch.らしくなる自信も出てきたので。昔はどんどん音を乗せてたし、それで輪郭がぼやけていたところもあったかもしれない。前はそういう部分では臆病だったかもしれないです。振り切れてなかったのかもしれない」

――リード曲の“I BELIEVE IN ME”は、スピーディーで音も曲展開も激しいという、lynch.らしさをストレートに打ち出す曲だと思うんですけれども。この曲はどういうイメージから作っていったんでしょうか?

葉月「“I BELIEVE IN ME”は、元になる曲が、アルバムを作ろうと思ったときに最初に出来てきたんです。いままでよりもさらに刺激的な一枚にしたいというのがあったので、とにかく激しくて速くて、2000年前後のヘヴィー・ロックの重くてノリがある感じよりは、速くてメタリックな感じにしたいと思って。学生の頃に刺激を受けてたロックも、やたらテンポが速かったし、そういうのをめざしてみたかった。とにかくツービートで、という」

――中盤の“-273.15℃”から“THIS COMA”、“SCARLET”という、それぞれ極端に振り切った曲調を持つ流れも印象的ですけれども。まず“-273.15℃”は非常にカオティックなサウンドですが、これはどういうイメージから?

玲央「インダストリアルという捉え方をしてますね。打ち込みじゃなくて、人間がやるインダストリアル。ナイン・インチ・ネイルズなんかもすごく好きなんで、やるならどこまでもビシビシにやろう、と」

――そこからのニューウェイヴ的な色気を持ったギター・サウンドと歌謡曲っぽいキャッチーさを持った“THIS COMA”に繋がる曲順の流れは、バンドの音楽性の幅を見せようという意識があったんでしょうか?

葉月「曲順の流れはすごく意識したんですけど、幅を見せるというよりも、僕のなかでそれがいちばん自然だったんです。後半の“TIAMAT”から“BEFORE YOU KNOW IT”も両極端なんですけど、それしかないという流れで。“LIE”から“からTHIS COMA”に繋がってしまうとそれぞれのインパクトも逆に薄れてしまうので、“-273.15℃”を置いた。あんなうるさい曲だけど、箸休めなんです(笑)」

――“A GLEAM IN EYE”を最後に置いたのは?

葉月「最後は、ああいう光に向かうような曲で終わりたいな、というのがあって。この曲は、去年にシングルで出したときとは違う構成になってるんです。最初は入れる予定もなかったんですけど、再アレンジが成功したから入れました」

 

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掲載: 2011年05月25日 18:01

更新: 2011年05月26日 14:03

インタヴュー・文/柴 那典

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