インタビュー

INTERVIEW(2)――暗闇から光へ

 

暗闇から光へ

 

――“メルシールー”は曲の展開も、かなりアイデアが盛り沢山だと思うんです。たとえば、曲の始まりと終わりで同じキーボードのフレーズが入ってるんだけど、ちょっと印象が違うんですよね。最初が〈陰〉、終わりが〈陽〉みたいな感じがあって。

沙田「そうなんです! 実は、最初はその〈陽〉の部分しか出来てなかったんですよね。これで曲を作ってたんです。最初から最後まで4つ打ちで進んで、そのなかにギターのアルペジオとキーボードのリフが入っているという、淡々とした曲が作りたいというテーマで。そのフレーズが最初にあったんですけど。それだと明るく陽気になりすぎちゃって、なんか違うなと思って。それでコードの暗さを足したら、すごく良くなって、新しく作りはじめたんです」

――よく聴くと気付く仕掛けのある曲ですよね。僕はイントロのほうが先にできたかな?って思ってたんですけど。

沙田「実は逆だったんですよね。アウトロのコードが最初にあって。せっかくだから最後に持ってきたらファニーに終われるんじゃないかと思ってつけたんです」

――ねごとの曲の作り方は、まずオケを作って、それからメロディーをつけて歌詞を書くんですよね。ということは、最初に作っていた4つ打ちのビートにのせて淡々と同じフレーズが繰り返すような曲だったら、このメロディーも乗らなかったわけで。

蒼山「そうですね」

――曲が出来た段階で、暗闇から光に向かって上がっていくようなイメージが生まれたということ?

沙田「そうですね。そのぶんサビの明るさというか、煌めきが出てきたと思いました」

――その展開ありきでの、歌詞だという感じもするんです。

蒼山「オケがイメージしやすかったんです。“カロン”よりも全然そうでした。おどろおどろしいキーボードのリフが最初からあって(笑)、エグいなって思ってビックリしたんですけど。トンネルというか洞窟みたいなところで冷たい風が吹いてるところから、サビで眩しくなるようなイメージがあって。最後は眩しくなる曲にしたいなと思ったんで、そこから歌詞は書いていきました」

 

イメージは〈洞窟〉と〈凛とした青さ〉

 

――“カロン”の時は相当悩んだって話をしていましたけれど。あれをやったことで掴んだものはありました?

蒼山「“カロン”が出来たからこそ作ることのできた曲だと思います。要らないところと要るところを判断できるようになったし。この曲は全体的にシンプルなんですけれど、聴かせられるところもあるし。テンポが速くなくても疾走感がちゃんとあって」

――歌詞を作っていくなかで、最初には暗闇から光に抜けていくイメージがあったんですよね。そこでAメロの〈瞳の奥に咲いた 蒼いひまわり〉というフレーズが出てきたのは?

蒼山「最初、Aメロを考えていた時に、ハーモニーが切なくて綺麗だなって思って。それを印象付けたくて。この曲は、最初は暗い場所にいるんですけど、それは自分が何かを忘れてしまっているから孤独になっているだけで。誰かに優しくされた記憶とか大切な思い出を思い浮かべた時に、たとえ闇のなかにいたとしても、その瞬間が眩しく見える。そういう曲にしたくて。イメージ的には〈洞窟〉っていうのと、〈凛とした青さ〉というのがあるんです。ジメジメした暗さじゃなくて、心に染み入るような冷たさというか。そういうイメージが青という色にあったので」

――ジャケットも〈瞳〉のイメージで出来たんですよね。

蒼山「このジャケットはインパクトあると思います。歌詞カードを広げると、おもしろい作りになってるんですよ。穴が開いてたりして、それに紙を重ねることで丸を作ってるので」

 

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掲載: 2011年06月22日 18:01

更新: 2011年06月22日 18:01

インタヴュー・文/柴 那典