インタビュー

INTERVIEW(2)――クリエイティヴ精神が出せた

 

クリエイティヴ精神が出せた

 

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――6曲目の“ふわりのこと”はどうでしょう? ピアノ主体の弾き語りが元になっている感じもしますけれど。

幸子「アルバムのなかでは、この曲だけ歌詞が先にあった曲なんです。高校生の時に私が作って、みんなに演奏を付けてもらった曲で。私が1人で曲を作るとこういうピアノ曲のようなパターンが多いんですよね。もともとゆっくりな曲が好きだし。“ふわりのこと”はミッドテンポだし、アレンジしてもらったらいい曲になるかなって思って。だから、いつもと作り方が違うんです」

――じゃあ、この原曲を瑞紀さんはどうアレンジしました?

瑞紀「こういう作り方をするのは初めてだったんで〈どうしよう?〉とは思ったんですけど。でも、メロディーとキーボードに寄り添っていく形でできたらいいというのはわかってたんで。引き立てるようにやりました」

――7曲目の“七夕”はまたテイストが違いますよね。奇想天外なアレンジもあるし、音楽で遊んでる感じがする。これはどんなふうにできていったんでしょう?

瑞紀「これは、もともとこういう曲にしたいというイメージが最初にあったんです。イントロは決まった状態で持っていって、それで作っていったら、こうなったという。こういう曲は得意なんですよね。いろんな要素、自分たちのなかにあるクリエイティヴ精神が出せたと思います」

――8曲目の“week…end”は、シューゲイザー的な轟音のサウンドがすごく鮮烈で、アルバムのハイライトの一つになっていると思います。まず、これはいつ頃に出来た曲ですか?

幸子「土台は結構前にあって、作り直した曲です。わりとさらっと出来たかな」

――資料には〈自分が男だったらどんな曲を作るんだろう?〉ってコメントが書いてありますけど。これはどういう発想だったんですか?

瑞紀「もともとは女とか男とか意識してなくて、ただ作りたいものを作るという感じだったんですけど。この曲は、男の人が演奏しても格好いい曲にしたいと思ったんですよね。なんで、ぜひ男の人にコピーしてもらいたいと思います(笑)」

――この曲はベースラインも印象的ですよね。

幸子「これは佑が、ベースラインを一杯持ってきてくれたんですよ」

藤咲佑(ベース)「こういう、浸れる曲が大好きなんです。暗いけど、光があるような曲が好きで。聴いた瞬間に楽しいと思って。いろんなラインを作るのが楽しかったです。こういうラインがつけられそうだなって想像して。歌えるようなラインを作るのが好きなんで。新たな一面が見せられたんじゃないかと思います」

――9曲目の“季節”は疾走感のある曲ですけれども。この曲は?

幸子「これも土台は昔に作っていて、それを新たにブラッシュアップした曲ですね。季節というのは、鮮やかな感じじゃなくて。ちょっと木枯らしが吹いているような秋のイメージがあったので。疾走感はあるけど、爽やかじゃないというか(笑)」

――10曲目の“AO”はバンドのなかでも古い曲なんですよね。こういう淡々とした詩情がある曲って、バンドの原点なんだなと思いますけれども。いま振り返ると、どうでしょう?

瑞紀「出来た時には、〈やあ、これはいい曲が出来たねえ〉ってなった曲ですね。いまもすごく大事にしている曲です」

――“ループ”の掻き立てられるような感じも、“AO”のゆったりした感じも、両方がバンドの原点なんですね。

瑞紀「もともとの気持ちよさという意味では、“AO”のほうが原点だったかもしれないですね。むしろ“ループ”が異色だったというか」

幸子「〈閃光ライオット〉に出てなかったら、“ループ”みたいな曲も作れるという確信は持てなかった気がします。もしかしたらスローなバンドになってたかもしれない(笑)。そういう意味では、いろんな偶然の重なり合いがあって、引き出されているのかもしれないですね」

――“カロン”も、バンドに高いハードルが課せられたからこそ生まれた曲なんですよね。聴いてくれる人との相互作用で出来ていった感じはあるんじゃないですか。

幸子「まさにその通りだと思います。いまは無理なく、もともと持っていた自分たちらしさと、人に聴いてもらうということを意識できるようになって。両方のバランスを持って曲を作ることができるようになったと思います」

 

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掲載: 2011年07月13日 18:01

インタヴュー・文/柴 那典