INTERVIEW(2)――僕なりの精一杯の『A LONG VACATION』
僕なりの精一杯の『A LONG VACATION』
──でもまあ、今回の『愛にのぼせろ』は、タイトルからしてもそうなんですけど、ラヴソングが中心になった、いままででいちばん柔らかい切り口のテーマになってますよね。
「僕なりの精一杯の〈ロンバケ〉です(笑)。今回、死人がいないんですよね。誰も死なない。振り返ると人が死ぬ歌ばっか作ってきたなあ、いい加減いいんじゃねえかなあっていうモードだったので、ちょっとラヴソングを作りたい、〈ロンバケ〉作りたい、っていうのがあってこうなりましたね」
──でまあ、今回は松本素生さんをはじめGOING UNDER GROUNDのメンバーが作曲、プロデュース、演奏でサポートしてますよね。これはどういった流れで?
「まあ、共通の知人を通しまして、GOING UNDER GROUNDがやってくれそうだよって。歳もいっしょなんですよね。でまあ、華々しい経歴をお持ちの方々なんで、なんか刺激を受けたいなって。レーベルも変わって新しいチームでやることだし。あと、僕って音楽への愛情があまりないものですから(笑)。なもので、GOING UNDER GROUNDといっしょにやって音楽への愛を取り戻そうじゃないかってのもありましたね
──愛情がない?
「愛情というか、倦怠期というか……まず、最近はあまりCDを買ったり聴いたりしないんですよ」
──それっていつぐらいから?
「まあ、音楽を仕事にしてからですかね」
──いろいろな音楽を聴いて自分の作品に反映させるっていう、そういう創作スタイルではないんですね。
「本からアイデアが生まれることのほうが多いですからね。あとは、友達や知人から〈こんなことあったんだけど〉っていう話を聞いて、あっそれいいねって時もありますし」
──ところで、GOING UNDER GROUNDのメンバーとは面識がなかったんですか?
「会ったことなかったんですよね。素生さんから僕のデビュー時にコメントを寄せていただいたっていう縁はありますけど、実際に会ってはなくて」
──レコーディング現場はどんな雰囲気でした?
「僕はそんなにおしゃべりな人じゃないし、ましてや初対面でしたからね。そんなに打ち解けてはいなかったですけど(笑)。でも、誰にでもそうなんですよね、僕。バック・バンドにも、いまでこそ親しげに話しますけど、つってもプライヴェートで会うわけでもないし、慣れるまで相当時間かかってるんですよね。GOING UNDER GROUNDの皆さんともこれから仲良くなっていけたらいいなって思いますけどねえ(笑)」
──では、現場は結構物静かな感じで?
「演奏ということでは、今回僕は何もやってないので、待ち時間がすごく多くて。ま、隅っこでしょんぼりしてました(笑)。で、歌ってくださいって言われたら〈ハイッ〉て感じで」
──今回は完全にシンガーとして臨んだアルバムでもあるわけですね。
「シンガーになっちゃってましたね。そんなに腕はないんですけど(笑)」
──それでも、歌により力を入れてみようと。
「まあ、そう言っておきましょうかね(笑)」
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