INTERVIEW(4)――土着的なビートに特化した
土着的なビートに特化した
――C.H.A.P.P.Yさんは、10曲目“C.U.L.T”でフィーチャーされてますよね。最後、ずーっと聴いていると……。
C.H.A.P.P.Y「はい。なんか、流れはじめますよね(笑)。ミックスの作業の途中でちょっと空き時間があったときに、68がパソコンでなんかやってて〈I’m C.H.A.P.P.Y〉って言ってくれ、って言われて。で、そのときのが気付いたら最後に入ってて、自分でもちょっとビックリしました(笑)」
――シークレット・トラック風に。
68「なんか、ちょっとシリアスな感じになっちゃったから、照れ臭くなっちゃって(笑)。後半からちょっと、ね? ふざけようかな、って。だって……エンターテイメントですからね。なんて言えばいいんですかね? とにかく照れ臭かったんです(笑)」
――なんですか、それは(笑)。ただ、その〈シリアスさ〉にあたるのかわからないですけども、本作のトライバルなリズムからは得体の知れないエネルギーが感じられると言いますか、単に享楽的なものとは一線が引かれたグルーヴ感があると思うんですよね。それって、70年代~80年代初頭のポスト・パンクやニューウェイヴ作品を想起させるもので。パンク~ニューウェイヴって、連続性のあるものじゃないですか。
68「うん。そうですね」
――既存の音楽に対するカウンター精神が根底にあるという意味で。そして、そういった熱量やエッジみたいなものが、今回のアルバムの土着的なビート感とすごくマッチしていると思うんです。
68「うん。そういうニューウェイヴ感で言えば、リーダーだけじゃなくて、俺たちはみんな好きですね。NYのパンク……リチャード・ヘルとか、あとはスリッツとか。あれ? スリッツってNYのバンドだっけ?」
――スリッツはUKですね。
68「そっか。それからエックス・レイ・スペックスとか……トーキング・ヘッズとかも好きですし」
――ああ、それはMONICAのサウンドを思えば納得のラインナップですね。
68「うん。だからあの……いままでの日本の音楽シーンのことはわからないですけど、僕らがデビューした頃って、括り方が粗暴な感じがしましたよね。ダンス・ロックとか言われて……(小声で)ダンス・ロックって、ビックリしたね?」
GEORGE「うん。言葉がダサくないですか(笑)?」
――それはどうでしょう……(苦笑)。まあ、当時は4つ打ちを採り入れたロック・バンドが次々と出てきていた時期でしたね。
68「そうですね。それから1年ぐらいの間で、〈ああ、こういうジャンルの所属になるんだ〉っていうのを知っていったんですけど、それに対して、ちょっとだけアンチテーゼみたいなのはあったかもしれない。俺たちはもっと土着的なビートなんだけどな、って。じゃあそこを特化させようっていう気持ちが、俺らの心のなかにあったのかも」
――本作がどう聴こえて、それをどう捉えるかはそれこそリスナーそれぞれに委ねられることだと思うんですけど、ただ、MONICAのサウンドはダンス・ミュージックではあると思うんですね。
68「うん」
――今回はトライバルな方向に特化してますけど、ダンサブルなビートには常にこだわりを持ってますし、今後、音楽性が変わっても、どんなフィールドにいようとも、ダンス・ミュージックを作っていかれる……というか、ダンス・ミュージック然としたものになるんだろうな、って勝手に想像してますが。
68「ああ……それはおっしゃるとおり、ですね。おっしゃる通りのことをおっしゃられたな、って思います(一同笑)。そうですね……(しばらく考えて)他にはもう、言いようがないぐらいですね(笑)」