THEラブ人間 『これはもう青春じゃないか』

[ interview ]

1年以上前、初めてTHEラブ人間のライヴを観た時の、どうしようもなく暑苦しい印象はいまも忘れるものではない。歌手の金田康平はこれでもかとばかりに自分の過去と現在の恋愛のあれこれを実に細かく言葉にしていき、これでもかとばかりにエネルギッシュにそれをメロディーへ託し嗚咽するように歌う。その横でノスタルジーを煽るヴァイオリンと鍵盤、グルーヴを巻き上げるベースとドラム――それはまるで嵐の中心で暴風雨を浴びて心地良くなるような奇妙な快感があった。その後、一部メンバー・チェンジが行われたが、バンドのめざす方向性は、よりハッキリと金田の歌とメロディーを中心としたスタイルへと徐々にシフト。7月に行われたワンマン・ライヴでは、リリースされたばかりのメジャー・デビューEP『これはもう青春じゃないか』のタイトル曲や、〈8ビートでキスして～♪〉のサビが印象的な代表曲“大人と子供”などを満員の会場中が大合唱するという状態にまでに至り、久しぶりにシンガロングできるアンセム的なナンバーを作れるバンドが誕生した、そんな手応えを実感したものだ。

そんなTHEラブ人間の結成までのエピソードやバンドの本質を徹底的に掘り下げたロング・インタヴューをお届けする。金田の圧倒的なワンマン・バンドというイメージもあるが、実はバンド・アンサンブルが曲作りにおいてかなり大きなウェイトを占めていることがわかる5人揃っての貴重な内容だ。新作を聴きながら、ぜひ堪能していただきたい。

〈ラブ〉の始まり

――改めて結成に至るまでの流れから訊かせてもらえますか?

金田康平（歌手）「俺とツネ（・モリサワ）がそれぞれやってたバンドが解散して。で、そのあとすぐにツネが〈いっしょにバンドやろうよ〉って言ってくれたのがいちばん最初です」

――それまではどういうバンドをやっていたの?

金田「僕は3ピースのバンドで。僕はドラムとヴォーカルで」

ツネ・モリサワ（キーボード）「すごかったですよ。（金田が）上半身裸で、その上に〈LOVE〉ってマジックで書いて（笑）」

――その頃からもう〈ラブ〉だった!

ツネ「その時、僕はCAVE BEというライヴハウスでブッキングの仕事をやっていたんですよ。で、今日出るバンドってどんなかな?って感じでリハを観ていたら、ひとりでドラム叩きながらヴォーカル取ってて、〈こりゃヤベーな〉って（笑）」

金田「他のメンバーがリハに来なかったんですよ（笑）。仕方ないからひとりでオリジナル曲をメロディーも何もなく叩いて歌って。本番には間に合いましたけど」

谷崎航大（ヴァイオリン）「その時の対バンは僕がやってたバンドなんです。僕はまだドラムだったんですけど……」

金田「ミッシェル（・ガン・エレファント）が好きなんだろうな～?って感じのガレージ・バンドでしたね。だから、この3人はみんなお互い知り合いではあったんです。〈今日は打ち上げないよ〉って言われても何となくズルズルと会場に残っているような3人（笑）。で、ちょうど2008年の終わり頃にそれぞれがやってたバンドが全部解散したり休止したりして。最初のスタジオに入った時は俺とツネだけだったんだけど、〈確かタニ（谷崎）はヴァイオリンが弾けるはずだよ。おもしろそうじゃん〉みたいな感じで始まったんです。2009年１月のことでした」