INTERVIEW(2)――21世紀型のフォーク・ミュージック
21世紀型のフォーク・ミュージック
――最初に何か音楽的なキーワードはありました?
金田「歌モノということは決めてました。あと、自分のことをちゃんと歌詞にして歌うということも。前にやっていたバンドでは、自分のことをそのまま歌にするような伝え方はしていなかったんです。そういう意味もあって、〈21世紀型のフォーク・ミュージック〉というのがキーワードになってはいました。最初にツネとスタジオに入った時もそういう話はしたと思います。あとは、メンバーを集めようよって、ホントにそのくらい」
ツネ「金田の弾き語りのステージを観ていたこともあったんで、それならおもしろいことになるかなって思いましたね。あと、フォークならヴァイオリンを入れるというのはいいアイデアだとも思ったし」
――いまではフォーク・ギターも編成のなかに入っていないですからね。
金田「そうなんですよ。〈21世紀型〉って言うくらいだから、フォーク・ギターを持たないフォークっていうのもおもしろいって思って。最初は曲によってフォーク・ギターとエレキ・ギターを持ち替えて使っていたんですけど、いつの間にかギターはなくなりましたね。あと、ツネと2人で最初にセッションしてから一週間後には、いまとメンバーは違いますけど、この編成でサイゼリアでミーティングしていました(笑)」
――最初からオリジナルを?
金田「そうです。カヴァーはしませんでした。そもそも、ツネといちばん最初にスタジオに入った時に“りんごに火をつけて”という曲を作ったんです。歌詞だけすでにあったんで曲を付けて……」
ツネ「ただ、最初はもうグッチャグチャだったよね(笑)。とりあえず〈楽しいね~〉みたいな感じ」
谷崎「だって、誘われた時も〈タニ、いっしょにバンドやらん?〉〈やるやる!〉ってそんな感じだったんですよ。どんな感じなのかよくわかってなかったから、最初はいっぱいいっぱいでしたね」
金田「でも、こっちは最初から〈音楽シーンを変えてやる!〉って野心はあったんですけどね(笑)」
ツネ「でも、売れるだろうな~って漠然と思っていましたよ」
金田「そりゃやっぱり曲がいいからね~(笑)。でも、最初から無茶をやったよね。いきなり初ライヴが3日連続で、そのうち中日がワンマンという(笑)」
谷崎「5曲しかなかったのに(笑)」
ツネ「で、集客10人ほど(笑)」
金田「10人もいたっけ?」
ツネ「友達とかばかりだったけど(笑)」
金田「でも、初めてライヴをやるならおもしろいことやろうよってことになったんだよね。でも、2日目のブッキングが決まらなくて、仕方なくワンマンになった(笑)。3日目に至っては、前のドラマーがバイト休めないって言い出して(笑)。2日目のワンマンが終わってすぐスタジオに入って、ドラムレスでどうやってやるかを一晩で練りました。その日のために“シャボン玉とばそ”って曲を慌てて作って。でも結局その日しか演ってないですね、その曲は。そうやってこのバンドはメンバーそれぞれの個性を受け入れてバンド感を高めてきたと思うんですよ。例えば、(おかもと)えみはファンクとかが好きなベーシストなんですけど、そういう要素はこれからももっと出てくると思うんですよね。いまのこの5人のメンバーになってからは、この5人で音を出せば自然とおもしろいものになるだろうなっていう予感があるんですよ」