インタビュー

LONG REVIEW――スネオヘアー 『スネオヘアー』

 

スネオヘアー_J170

メジャー・デビュー10年目、レーベル移籍第一弾のフル・アルバムにして初のセルフ・タイトル。ご存知の 通り最近プライベートで慶事があり、さまざまな意味を含めて心機一転を強く感じさせる作品である。とはいえスネオヘアーの作風はすでに揺るぎなく、なめら かに上下する心地よいメロディーライン、ギターを始めたばかりの少年が好むようなシンプルでキャッチーなコード進行、何を歌っても切なさを感じさせるナミ ダ成分を含んだ歌声は不変だ。ファンがスネオヘアーに望む最良のものはすべてここにあるので、何の迷いもなく購入していただきたい。絶対に損はしませんか ら。

サウンド面においてはリズムへのこだわりが格段に増し、よりファンキーな要素を前面に押し出すようになっ た。パーカッションを多用し、16ビートを刻むドラム、ベース、アコギとが生み出すグルーヴは非常に正確で、生バンドながらクールでオシャレなダンス・ ミュージックの味わいを兼ね備えている。スネオヘアーにフォーク・ロック的なイメージを持っていた人は、このモダンなサウンドの魅力をぜひ味わっていただ きたい。

あっけらかんとした夫婦デュエット“家庭に入ろう”をはじめ、シアワセとカナシミのバランスを計るなら7 対3でシアワセが勝る歌詞の世界は、いまの自身の内面バランスそのままだろう。1作ごとに楽曲の完成度を上げつつ、歌詞はあくまで個人的な〈いま〉を歌い 続ける。スネオヘアーは、シンガー・ソングライターとして理想の状態にいる。

 

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掲載: 2011年08月24日 18:00

更新: 2011年08月25日 04:56

文/宮本英夫