INTERVIEW（4）――いい意味で聴き流せる

いい意味で聴き流せる

——Kateさんは歌入れでこだわったことって何かありますか?

Kate「リラックスして歌う、というのは意識しました。だから環境作りはすごく重要だったので、パジャマを着たりしてたんですよね。パジャマだと身体はもちろん、気分的にもやっぱりリラックスできてるので。あと、声帯がまったく無理をしてない状態というのも意識してましたね。歌っている時のイメージは丁寧で丸い感じ。力が入ってなくて、どこの音域を歌っても、ずっと一定で同じ感じで。すごいがんばって歌っちゃってるようなパートがないようにしたんです」

——そもそも、Kateさんが歌うようになったきっかけって何かあるんですか?

Kate「気が付いたら小さな頃から歌ってましたね。友達といても知らない間に鼻歌を歌ってるみたいだし、ライヴをやらないと体調がおかしくなって、性格がさらに悪くなる（笑）」

Shige「悪いの認めてんのか（笑）」

——そうやってずっと歌ってきたなかで、ヴォーカル・スタイルとか歌への向き合い方って変わってきてます?

Kate「以前は技術的なことにこだわっていた時期もあったけど、Shigeとか良い音楽をいっぱい聴いている人といっしょに曲を作っていくなかで、そういうこだわりって必要ないんだな、と思うようになってきました。自分の歌の上手さとか、そういう主張は要らなくて、歌声は良い音楽を伝えるためのツール（道具）なんだって。いまは音楽を気持ちよく音楽をリスナーに伝えたい、という使命感を勝手に感じてます」

——その心境の変化はShigeさんといっしょにやるようになってから?

Kate「そうかもしれないですね。それまでは一人で歌ってたので、やっぱり〈飾らなきゃいけない〉と思ってたんですよね。でも、そういうことじゃないんだなっていうか。最近は曲の大切さをどんどん意識できるようになってきたかもしれないですね」

——Shigeさんにとって、Kateさんの歌声の魅力はどんなところにりますか?

Shige「う〜ん、聴いててラクなとこかな。いい意味で聴き流せるみたいな。それが重要だと思うし」

——シンガーとしてのエゴを感じさせない?

Shige「そうですね。確かにヴォーカルの主張が強すぎる歌は好きじゃないですね。歌詞とかトラックを含めて、曲全体で聴けることが重要というか、良い意味でBGMみたいな歌が良い」

——新作全体の雰囲気がそんな感じですよね。シンプルでリラックスしててキャッチーで。

Shige「そこは最初から意識してました。アコギを使って自宅で作るんならリラックスした曲だよなって。曲を流しっぱなしにしていても眠れて、何かしながら鼻歌で歌えるような曲にしようと」

——これからも、その路線で行く予定?

Shige「それはないですね。今回こういうスタイルやったんで、次はまったく違うものがいい。じゃないと、つまんないですよね。同じことばかりやってると飽きてくるし、その空気が曲に入ってくる。こなれた感じになってくるのがいちばん嫌なので先のことは考えないようにしてます」

Kate「DadaDらしく新しくてキャッチーなもの、ポップなものを作っていきたいなと思います」

——Shigeさんも〈ポップ〉という点は大切にしたい?

Shige「俺、実は全然ポップスとか聴いていなくて、もともとはノイズとか現代音楽のほうが好きだったんです。でも、曲を作ってみたら、〈ポップだね〉って言われて。〈あ、俺ポップな曲を作れるんだ〉と気が付いたんですよね。ほんとは〈ガシャーン〉とか鳴っている音だけ２時間ぐらい聴いてても飽きないんですけど（笑）」

Kate「私もそういう変わった音楽も好きだけど、DadaDはポップじゃないとイヤだ!」

Shige「だそうです（笑）」