andropの楽曲にも投影されている、内澤崇仁の音楽遍歴を訊いてみた
andropのフロントマン、内澤崇仁のなかにはどんな音楽が蓄積されているのか。本文中でも触れたが、まずはざっくりとこれまでに聴いてきたものを振り返ってもらうと……。
「本格的に音楽を聴きはじめたのは中学生の頃で、ギターもその頃始めたんですけど、きれいなメロディーがもともと好きだったんですね。親がよく聴いていたカーペンターズはすごく好きで、ずっと聴いてましたね。それからパンク系のものを聴くようになって、グリーンデイをコピーしたりしてました。そのあとにUKロックに行って、コールドプレイ、レディオヘッド、オアシスとかを聴いて、それから音響系と呼ばれるものを聴くようになって、アンビエント・ミュージックに行って。特にジャンル分けして(聴いて)いたわけでもないんですけど、そんな感じです。最近はウォッシュト・アウトとか、チルウェイヴばかり聴いてます」。
日本の音楽でハマったものは?と訊くと、しばらく首をひねったあとに「ないですね」と。中学時代、ギターの練習をするためにJ-Popの歌本を見ながらコードを覚えたことがあり、「その影響もあるのかな」という程度だそうで、基本的には洋楽に親しんで過ごしてきた。
「歌謡曲は聴いていたかもしれない。松任谷由実とか安全地帯とか、親が好きだったので車の中でもよくかけてましたね。あと、小田和正も」。
そして、最近はチルウェイヴばかりと言いつつ、フェイヴァリットなアーティストの動向は常に追いかけているようだ。
「最近聴いたのはレッド・ホット・チリ・ペッパーズの新しいやつです。もともとレッチリ好きなんですけど、新作は鍵盤も入ってたりとか、すごく良かったですね。おもしろいサウンドのものが多いです」。
次に、特に時代を区切らず影響を受けた音楽を聴いてみると、さまざまなジャンルのアーティストが飛び出してきた。その一見バラバラな面々に共通するものとして、〈古いものと新しいもの〉の融合を挙げるところに、内澤のクリエイティヴィティーの核心がチラリと覗いて見える。
「音響系だと、ジム・オルーク。あとシガー・ロスが好きで、結構影響を受けたと思います。バトルスもライヴを観て、各メンバーがいろんな楽器を演奏できるのがカッコイイなと思いました。他には……フィオナ・アップル、アデルあたりの女性ヴォーカルものもそうですね。最近だと、パンクから歌ものロックに変わっていっているゲット・アップ・キッズの変化がおもしろいなあと思いました。混ざってるのが好きなんですよ。一般的になっているものに何かの要素を加えて、新しく聴かせることができているものに、すごく惹かれます。ポスト・ロックもそうだろうなと思うし。例えば70年代の音があって、そこにプラスして、いまだったら電子音が入るとか、そのうえでどう聴こえるのか?とかいうものに惹かれますね」。
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
左から、カーペンターズのベスト盤『Carpenters Gold: Greatest Hits (Sound and Vision)』(Polydor)、グリーンデイの94年作『Dookie』(Reprise)、コールドプレイの2002年作『A Rush Of Blood To The Head』、レディオヘッドの97年作『OK Computer』(共にParlophone)、ウォッシュト・アウトの2011年作『Within And Without』(Sub Pop)、松任谷由実のベスト盤『Neue Musik -Yumi Matsutoya Complete Best Vol.1』(EMI Music Japan)、安全地帯のベスト盤『安全地帯Hits』(ユニバーサル)、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの2011年作『I'm With You』(Warner Bros.)、ジム・オルークの99年作『Eureka』(Drag City)、シガー・ロスの2002年作『( )』(Sundlaugin)、バトルスの2011年作『Gloss Drop』(Warp)、アデルの2011年作『21』(XL)、ゲット・アップ・キッズの2011年作『There Are Rules』(Quality Hill)
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2011年09月14日 18:01
更新: 2011年09月14日 18:01
ソース: bounce 336号 (2011年9月25日発行)
文/宮本英夫