ソノダバンド 『疾走(はしれ はしれ)』
[ interview ]
ヴァイオリンが奏でるメロディーを中心としたインストゥルメンタル・バンド――と言うと、クラシック調のポップスや、気軽なイージーリスニングをイメージするところもあるが、ソノダバンドの音はそういうものとはあきらかに一線を画している。特にレーベル移籍後の第1作目にあたるニュー・アルバム『疾走(はしれ はしれ)』ではロック・バンド的なアプローチを前作以上に打ち出し、新たな地平へ一歩を踏み出しているのがはっきりと聴き取れる。
2011年はさまざまなジャンルのアーティストとの共演も精力的に行い、急速に実力と知名度を上げているソノダバンドとは、一体どういうバンドなのか? この全員インタヴューで、ぜひ確かめてほしい。
自分は日本人なんだな
――メジャー・デビューからちょうど1年ですか。今年はいろいろありましたよね。バンド的にも世の中的にも。
園田涼(キーボード)「濃い1年でしたね、非常に」
――今年の活動で特に印象的な出来事を挙げるとすると、何がいちばんになります?
園田「う~ん、何だろう?」
熱田哲(ヴァイオリン)「僕は、2月の〈HIBARI 7 DAYS〉ですね(註:美空ひばりの23回忌を機に、2月18~27日に世田谷パブリックシアターで開催。園田涼が音楽監督を、ソノダバンドがハウス・バンドを務めた)」
橋本怜(チェロ)「僕も〈HIBARI 7 DAYS〉です。普通にバンド活動だけやっていたらあんまり関わることはないであろう松浦亜弥さんとか、いろんな方々と共演させていただいて。すごい刺激がありました」
園田「松浦さんだけは、メンバー全員一致で〈ぜひ終演後に写真が撮りたい〉と」
――あははは。撮ったんですか?
園田「はい、みんなで。ツーショットをお願いする勇気はなかったですけど(笑)」
熱田「あの時に、中村中さんとすごく仲良くなったんですよ。そのあとのアメリカ公演も急遽来ていただいて、NYとLAでいっしょにやりました。それ以来、深夜に急に〈何で飲みに来ないの?〉という電話がかかってくるようにもなって(笑)。そうやって可愛がられるようにもなったきっかけとしても、おもしろかったですね」
――その、アメリカ公演のメインになったのが、昨年に続いて2度目の出演となる〈S×SW〉ですね。
園田「僕がいちばん印象的だったのはそれです。〈SXSW〉に出たということよりも、震災の直後にアメリカに行ったということがものすごく印象深くて。世界中であの震災がニュースになっていて、びっくりするぐらいみんな優しいんですよね。空港の無愛想なスタッフでさえも、ゲートを通る時に〈家族は大丈夫なのか〉とか〈大切な人は無事か〉とか言ってくれて、アメリカに行ったことで〈自分は日本人なんだな〉ということを強く意識させられました。その意識は、その後の作曲においても深く関わってきたような気がします」
――順番で言うと、次が4月のツアーで、夏にはフェス〈情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'11〉に出演しました。
園田「〈情熱大陸〉は本当に嬉しかったです。やっぱり、ヴァイオリンがフロントに立ってるインスト・バンドというのを考えると、葉加瀬太郎という存在は避けて通れないパイオニアで、本当に僕は追っかけみたいな感じだったんですよ、中高生の時代とか。それぐらい強烈に憧れてた方だったので、〈情熱大陸〉の本番中にふとPA卓を見ると、着替えもしないで葉加瀬さんが観に来てくれたりしているのが、本当に嬉しかったですね。でもね、最近ちょっと、葉加瀬さんの僕らへの接し方が変わってきたんですよ。この前もライヴに伺って、楽屋に挨拶に行ったら、〈おお、久しぶり〉って握手していただいたあと、〈もうちょっと強めに握手して、お前の手、砕いとったら良かったな〉とか(笑)」
――それはライヴァル視してるんじゃないですか? 有望な若手は早めに潰しておこうという(笑)。
赤股賢二郎(ギター)「そんな、ライヴァル視なんてとんでもないですよ! すごく愛に溢れたなかに、たまにそういうブラックジョークを言ってくる方なので(笑)。すごく可愛がってもらってます。誤解があるといけないので、付け加えておきますけど(笑)」
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