インタビュー

INTERVIEW(4)――オール・ウェルカム



オール・ウェルカム



ソノダバンド_main



――言葉はアレですけど、イージーリスニングのように思われてしまう可能性は常にあると思うんですよ、インストの場合。そこではないんですね、ソノダバンドがめざしている場所は。


園田「ええ、そうですね。やっぱりイージーリスニングというと、その言葉の通り、何か作業をしながらとか、お茶でも飲みながらとか、そういう画が浮かびますけど、僕はそういうものじゃなくて、恥ずかしげもなく〈ちゃんと人の心の深いところに入り込んで、動かしたい〉と思ってやっているので」


――その思いは、メジャー・デビュー以降、どんどん強くなってきてます?


園田「強くなってきてますね。意識としては昔からあったと思うんですけど、でも結成から5年かかって、そういう意識が強くなってきたんじゃないかとは思ってます」


――その意識は、アルバム・タイトルにもはっきり出てますね。『疾走』と書いて〈はしれ はしれ〉という、非常に肉体的というか、ダイレクトに訴えかけるものになっていて。


園田「実は、これはかなり揉めたんですよ。なかなかいいのが出なくて。で、最初は『疾走』のままだったんですけど、〈はしれ はしれ〉とふりがなをつけたら、固い感じが和らぐんじゃないかということで、こうなりました。前作が『ルネサンス』で、みんなジャケットを着て、みたいな、悪く言えばキザなところがあったんですけど、もうちょっと僕たちは、こういう感じじゃないですか」


――〈こういう感じ〉ですね。文章を読む方にはわかりづらいと思いますが(笑)。こうして喋っていても、気取った感じは全然なくて、ラフですよね。


園田「それをサウンド的にも、アルバム・タイトルにも出していきたいなというのは、共通の意識としてあったと思います」


――なるほど、わかりました。最後に訊きたいんですけど、聴き手についてはどう考えてますか? ソノダバンドはどういうリスナー層に響くのか。そのへんはどうでしょう?


園田「難しいですね、それは。美空ひばりさんのお客さんの前でも、〈情熱大陸〉のお客さんの前でも、いろんなところでやりましたけど、そのへんは意外と自分たちではさらっとしてますね。お客さんに関しては、来る者は拒まず、去る者は追わずという感じで」


熱田「去る者は追いたいですけどね(笑)」


園田「僕はさらっとしてますよ。100人が100人〈いい〉と言ってくれるはずはないので、気に入ってくれたら嬉しいけど、好みに合わなかったらごめんね、という気持ちではいるんですが。〈この層に刺さりたい〉とかは、そんなには考えないです。ただ、僕らは20代のバンドですから、やっぱり自分たちと同じような若い人が応援してくれたら、それはすごくエネルギーになるし、嬉しいなと思いますけど、かといって70歳ぐらいのお爺ちゃんがライヴに来てくれて、訳もわからずに手拍子してくれてても、それはすごく嬉しいですし」


赤股「確かに、地方に行くと年齢層高めのお客さんが多いんですけど、かといって盛り上がりが若い人たちに比べて地味かというと、そうでもないんですよ。だからこっちから年齢を絞る必要はないかな、って。好きなようにやって、響く人には響く感じかなって思いますね」


園田「もったいないですよね。例えば〈若い人だけにウケたい〉と言い切っちゃうのも。今日のニュースで観たんですけど、いま、日本の人口の25%が65歳以上なんですって。ということは、40代、50代以上も含めると、すごいことになるじゃないですか。これはもう、商売的には無視できない……いうのは冗談ですが(笑)。でも嬉しいですよ、いろんな方に聴いていただけるのは。バンドの意識としては、オール・ウェルカムです。そう言えば、とあるスタッフの方が、このアルバムを通して娘さんとコミュニケーションを取っているという話があって(笑)。会話が増えたらしいですよ、このアルバムのおかげで」


――素晴らしい(笑)! それですね。ソノダバンドは、世代を繋ぐきっかけになるバンドと。


園田「いいですね、それ。キャッチコピーにできる」


熱田「もらいました(笑)!」



カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年11月09日 18:01

更新: 2011年11月09日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫