インタビュー

INTERVIEW(4)――軽薄に、鮮やかに切り替わりたい



軽薄に、鮮やかに切り替わりたい



――今作で音楽性がフォーカスされたことにより、いままでのHALFBYファンとはまた違ったリスナーも親しむことができそうです。そういった思いは?


「それも多少ありますね。SECOND ROYALというレーベル自体も隙間産業というか。日本の音楽シーンをざっくり分けたとして、海外のものと比較して評価される人たち、例えば石野卓球さんのような方のいるフィールドと、あとは、やけのはら君のような日本の伝統的なアンダーグラウンドなクラブ・ミュージックのフィールド……そのどちらにも僕らって引っ掛からないんですね、渋谷系とかの流れのなかにいて。(前述の両フィールドのアーティストと)同じくらい音楽情報を持っていて学習もしていて好きなんですけども(笑)。そういうコンプレックスというのはあって。でも、どちらかに寄ることによって評価されるのではなく、自分のスタイルを貫いて評価されたい」


――海外へ向かう気持ちというのは?


「そうですね。もともと洋楽が好きで、洋楽のシーンに向けて作っているつもりがすごいあったので。海外からの流れで見てもおもしろいことをやっているな、とは思いますし。DJも誘いがあればぜひやりたいんですよね、そういう場所でウケる自信もありますし」


――10年間という活動期間のなかで、ジャンル単位にしてもお客さんのいる都市単位にしても流行り廃りがあったと思うんですが、高橋さんがDJする現場でのお客さんの印象に関してはいかがですか? そこでご自分の音楽性の変化とのギャップなどはない?


「ないですね。CDを買って僕らのイヴェントに足を運んでくれるようなお客さんというのは、割と吸収力がいい。ムーンバートンももうちょっとしたら流行ると思っているんですけど(笑)、そういう願い込みで。京都のMETROで毎月やっているイヴェントでは、1時間半セットのDJでムーンバートンを丸々かけたりもしますし。多少、盛り上がりがデコボコするんですけれども、そこはミックスCDを配ったりブログで紹介したりとかしながら課題を上げたりしつつ。テンポは遅いけど、アッパーなエレクトロみたいな展開があったりして、意外に盛り上がりやすいし大バコでも映えるんですよ」


――実際にムーンバートン主体でDJセットをやってみた実感はいかがですか?


「レゲトンなんて一生聴かないと思っていたんですけど、(ムーンバートン経由で)改めてレゲトンっていいなって思ったり(笑)。『The Island Of Curiosity』でやったようなトロピカルなモードも、実は結構リンクしていて相性がいいんですよね」


――過去の日本のDJやアーティストのなかには、あるジャンルのスタイルや聴き方を紹介、啓蒙していくような役割を担った方もたくさんいましたが、今後はムーンバートンを啓蒙していく活動をしていきたい、みたいな思いはあるんでしょうか?


「そこまででもなく、(流行る頃には)軽薄な感じで鮮やかに切り替わりたいですね(笑)。ただ、ムーンバートンをブログとかで紹介してるような人たちといっしょにイヴェントをやってみたいな、とは思ったりもします。どんなお客さんが来るんだろうな、という部分でもおもしろいし。ムーンバートンを始めたデイヴ・ナダという人は、もともとクンビアとか音響ブレイクビーツみたいな流れから出てきた人でもあるんですよね。僕はそこ自体にはあまりグッときてなくって。レアグルーヴの流れにあるラテン音楽、サルサとかサンバとかを掘って辿り着くみたいな流れじゃなくって、(ムーンバートンの)もっと軽薄というか気軽なノリが好きなんですね」


――そういうノリがニュースクール・ヒップホップの垢抜けた感覚と符合した?


「そうですね、ピッタリとハマった感じです(笑)」




HALFBY『Leaders Of The New School』カットアップ・ヴァージョン



カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年11月09日 18:00

更新: 2011年11月09日 18:00

インタヴュー・文/シャイ川崎