INTERVIEW(4)――何も残らなかったらどうしよう……って
何も残らなかったらどうしよう……って
――Negiccoは危機的な状況が何度もあったわけじゃないですか。最初の危機がスクールの消滅で、次がメンバー脱退で……。
Megu「それもありますけど、やっぱりいちばん大きかったのは『ヌキ天』のときかな」。
――『ヌキ天』はボクも途中から審査員をやっていたGyaOのアイドルの勝ち抜き番組(*)なんですけど、それに出る前に解散危機があったみたいですよね。
(*正式名称は『勝ち抜き!アイドル天国!!ヌキ天』。ブラザートム、ROLLY、吉田豪らが審査員を務めた配信オーディション番組)
Megu「そうです。そのときちょうど私が就職をどうするかって話があって、Kaedeちゃんも高校3年生だったので、進学するから勉強しなきゃっていう時期で」
――アイドルって難しいと思うのが、アイドル活動に専念できるのって高校生までで、そのあとはいろんな現実がのしかかってくるようになるじゃないですか。
Megu「そうですね。それが、ちょうど『ヌキ天』のオーディションを受けてたときで」
――このままだと生活もままならないし普通の生活に戻ることも考えていたからこそ、勝ち抜いたらメジャー・デビュー&賞金100万円&USENグループ全面バックアップという番組にすべてを懸けたわけですね。解散危機だからこそ、最後のチャンスだと思って挑戦して。
Megu「そうですね、それもありました。それで4週目に勝ち抜いたときに1回保留になったりとか、いろんなドラマがあったじゃないですか。それでもし次で落ちたらこの先どうなっちゃうんだろうとかすごい考えましたし、ちょうどそのとき専門学校に通ってて、保留になったのが〈就職どうするんだ?〉って言われてた時期だったんですよ。もしこれで受かったら就職を蹴ってもいいなって思ったんですけど、もしこれで受からなかったらどうしようって思ってたんです。すっごい悩んだんですけど。でもここまでがんばってきたし、Negiccoにもう一度懸けてみようと思って。そしたらなんとか(笑)」
――4週勝ち抜きか敗北かしかない番組で、4週目で保留になること自体が異例だったわけじゃないですか。
Megu「そうですよね。まさかあんなことになるとは思わなかったので」
――異例の裁定をブラザートムさんが出して、再チャレンジっていう。
Megu「フフフフ。ありがたかったですね、あれは」
――あの映像、いま観るだけでも泣けますよ。
Megu「自分たちの思いを言えば伝わるんだなって」
――1回落ちたあとに食い下がるっていうのも画期的でしたね。偉い人が「デビューしても、どうプロデュースしていいかわからない」って言ってるのに、「いや、私たちは自分たちでプロデュースをしてるんです! 振付も自分たちでやっててがんばってます!」みたいな(笑)。
Megu「フフフフ。自分自身を信じてもうちょっとがんばってみようって思ってたら、ああいう嬉しい結果になって」
――その結果、再チャレンジ2回の果てに勝ち抜いて3代目〈ヌキ天クイーン〉になり。
Megu「はい。〈よっしゃ、メジャー・デビューだ! CD出るぞ!〉と思って」
――そしたら、その間にGyaOの経営がガタガタになっていたという悲しい事件が起きるわけですよね。メジャー・デビューがCDデビューに格下げになり、賞金の話はなかったことになり、GyaOとUSENが分社化されたことにより、USENグループの前面バックアップもなくなりで……。
Megu「『ヌキ天』に勝ち抜いたのが、先生に〈Negiccoを続けさせてもらうんで、私は就職を蹴ります〉って話をしてたときで。それから、ずっと1年ぐらいCDの話もなかったんですけど……」
――会社の状態が危うくなって、しばらく放置されちゃったんですよね。
Megu「それですごい焦って。就職を蹴ったあとでそんなことになったんで、何も残らなかったら私はどうしようって……」
――ボク、そのとき審査員やってた関係でGyaOに呼ばれてCDの打ち合わせの会議にも参加してるんですよ。そしたらビーイング系のバンドの元メンバーに曲を頼む話になってて、その人はPerfumeも知らないって言うから、「とにかくテクノでお願いします! イメージとしてはPerfumeの“スウィートドーナッツ”で!」って言ったんですけど、それっきりボクは打ち合わせに呼ばれなくなって。
Megu「あ、そうだったんですか! ありがとうございます。1年間放置されたときに、豪さんがすごい後押ししてくれたっていうのをあとから聞いて。あとからで申し訳ないんですけど」
――いや、全然後押しはできてないですよ。会議のときに軽く闘ったぐらいで。
Megu「それがすごい大きかったと思うんです。その話を聞いて、ホントにすごい感謝しきれないぐらい……ありがとうございますっていう気持ちがすごい強くて。ファンの方もGyaOに問い合わせしたりとか、いろいろやってくれたりして」
――メンバーとしてもブログでも不安な心境を出しちゃってましたからね。
Megu「そうなんですよね。あと、いつもイヴェントで会うたびに〈『ヌキ天』どうなったの?〉ってすごいみんなに訊かれたんですけど、私たちも〈わからないです〉としか答えられないので」
――ボク、あの時期に1回アイドル・イヴェントでお客さんに絡まれたんですよ。〈『ヌキ天』の審査どうなってんですか!〉って(笑)。ただ、あの審査自体はホントにガチだったんですよね。トムさんが大人の事情をガチで突破して、そこにシビれたんですよ。
Megu「結局、番組自体が終わるっていう話になったときに、最後の収録があったじゃないですか。そのときにトムさんが、〈Negiccoは普通のTV番組で見てもおかしくないレベルだ〉みたいなことを言ってくださって、それが嬉しくて。それがいまでも忘れられないひと言です」
*来週の後編へ続く!