INTERVIEW(2)――私たちらしくできればいいのかな
私たちらしくできればいいのかな
――でも、Negiccoの不思議な魅力はそこにあるんですよね。9年やってきてステージの完成度は高まってるのに、メンバーはあきらかに自信も何も持ってないままやってるっていう。
Kaede「そこは評価してくれる人が……」
――あきらかに可愛くなってるし、あきらかにライヴもよくなってますよ!
Kaede「……っていう実感がないんですよね」
――正直、デビュー・シングルのときは可愛いとは思わなかったって、そこはMeguさんにも正直に言いましたけど。
Kaede「そうですよね。リップクリーム塗って、髪の毛を適当に巻いて、ぐらいの」
――ただの田舎の子供っていう感じだったから、久し振りに見たとき驚きましたもん。〈化けた!〉って。
Kaede「そう言っていただけることもあるんですけど。まあ、化粧はうまくなったのかなと思いますけど」
――ごまかしの技術が高まって(笑)。
Kaede「ダンスとか歌のレヴェルが上がったって言われても、そう思わないっていうか……」
――Kaedeさんは特に歌は不安そうですよね。
Kaede「不安ですね。自信を持って歌えない」
――さっきMeguさんに「何が自信ありますか?」って聞いたら、「connieさんの曲です」って言われたからビックリしましたよ。自分のことじゃないっていう(笑)。
Kaede「そうですね。やっぱり私も、自分で自信を持てる部分とかはまだ見つけられてないですね。探して強くしていかなきゃいけないんですけど」
――でも、経験によって培われていく部分ってすごいあると思うんですよ。ライヴの安定感とか。そうでもないですか?
Kaede「どうなんですかね? でも、応援してくれる人が増えてるっていうのは自信に繋がるところはありますし。上達してるのかなっていうのは」
――上達はしてますよ! そこすら不安?
Kaede「そこは不安です。全然変わってない気がする」
――小学生の頃から(笑)。
Kaede「なんでなんですかね? たまにファンの方から手紙をもらって、〈ダンスがへなちょこだ〉とか言われるんですよ。そういうのを聞くとなおさら、一生懸命やってるけどやっぱり伸びてないのかなって思っちゃうんですよ」
――ダンスのキレもいいですよ。
Kaede「ホントですか? 〈変だ〉とか〈ダンスがおかしい〉とか言われるので。一生懸命やってるのにそんなふうに言われちゃうと自信なくなっちゃうし、ステージに立つときも不安な顔になっちゃう。みんなが〈気にすることないよ〉って言ってくれるんですけど。最近ホントに自信がつきはじめてたのに、そういうのをもらったりするんで。もしかしてうまくなってきてるかなって思ったときにそれを言われて、やっぱり満足しちゃいけないんだなっていうか」
――うまくなってるから大丈夫ですよ!
Kaede「ありがとうございます……でも、やっぱり不安ですね」
――最近のNegiccoのライブは異常な多幸感があると思いますよ! おそらく、良い状況になってきてるからこそ出せる空気なんだろうなっていう。
Kaede「2011年は落ちなかったっていうのは、やっぱり大きいですね」
――ファンも含めて、すごいピースフルな空間になってて。
Kaede「ファンの方も、すごい優しいですからね」
――ダメ出しはするけれど(笑)。
Kaede「フフフ、ダメ出しする人もいますけど。〈自信を持っていいんだよ〉って言ってくださる人もいますし。変って言い方は悪いけど、危ないストーカーみたいな人もいないですし」
――ただ、地方でアイドルやってると大変だと思うんですよ。家とか学校とかも、東京在住以上にバレやすいわけじゃないですか。
Kaede「バレますね……。それが怖くて一人暮らしもできないんですけど。ウチの前に来た小学生とか中学生が〈ここNegiccoの家だぞ!〉って言ってるのがたまに聞こえて、バレてるなって思って」
――子供にまでバレてる!
Kaede「そういうのもあるんで怖いんですけど。まあ、実家なんで」
――それでも今年いい流れになってきて、ようやく安心できるぐらいにはなってきたんですか? まだ不安はつきまといます?
Kaede「不安は不安ですね。ほかのグループさんがうまくいってるのとかを聞いたり見たりすると、私たちは大丈夫かなって思ったりするんですけど、そういう話を周りにすると、〈そんなことを気にするのか〉とか〈そこは見るとこじゃないでしょ〉みたいに言われて」
――〈アイドル戦国時代〉でグループもどんどん増えてきてますからね。
Kaede「どんどん追い抜かれちゃうんじゃないかっていう……」
――若い子が次々と出てきて……みたいなことが大きいんですか?
Kaede「そうなんですよ、年齢が……」
――小中学生と同じ土俵で闘うとなると……ってヤツですよね。
Kaede「若さで比べたら絶対に勝てないですし……。そうなると私たちは私たちらしくできればいいのかなって」
――でも、Negiccoには年齢を超越した部分が絶対ありますからね。あきらかに年齢以上に幼いじゃないですか。
Kaede「精神的に(笑)」
――そこは大丈夫ですよ。
Kaede「フフフフ」
――でも、気持ちはわかるんですよ。ボクも、もしライターの世界がそうだったらって考えただけで不安になりますから。こういう仕事は内容で評価されるけど、外見と年齢で評価される世界になったとしたらどうしようって。小中学生のライターが次々と出てきて、「文章は全然ダメなんだけど、可愛いからあっちを応援します」とか言われるようになったら、死にたくなりますよ(笑)。
Kaede「フフフフ、そうですよね(笑)。〈トシじゃん〉って言われたら言い返せないですから。〈ああ、そうですよ〉ってなっちゃうし」
――でも、小6からやってきてだんだん目標に近づいてくる実感はあるわけですよね。
Kaede「でもホント、ここ1年でやっとっていう感じですね。2010年までは、どうなるんだろうってずっと不安でした。何度もガタガタガタガタして。やっとタワーレコードさんとかに支えていただけるようになって、ラストチャンスだなって思ってるので、今回はチャンスを逃さないでがんばりたいなと思ってます」
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