80KIDZ 『TURBO TOWN』
[ interview ]
『Life Begins at Eighty..』のスマッシュ・ヒットによって、日本にディストーション・ディスコのサウンドを一気に浸透させた80KIDZ。その後もメロディメイカーの資質を活かしつつ、ビートへの冒険にも意欲を見せるなど、果敢に自身のサウンドを更新し続けてきた。
そんな彼らが1年半ぶりにリリースするフル・アルバム『TURBO TOWN』は、生のギター・サウンドを大々的に採り入れたサウンドが耳を惹く、インディー・ロックとエレクトロがミックスした作品となった。また、ビートにニュー・ディスコの影響やブレイクビーツ・サウンドを導入するなど、アプローチの変化に伴い、サウンドデザインも大きく変わっている。
しかし、音色は変わってもその豊かなメロディーは健在。むしろ音色が変化したことで持ち味のメロディーの良さが際立った形となった。ユニットの魅力を再確認させる作品となった今回の新作は、どのようにして生まれたのか。Ali&とJUNに本作の制作エピソードを訊いた。
ナマ感が増えてもエレクトロ
——メロディーに回帰しつつ、ソリッドなビート感が印象的だった前作『Weekend Warrior』に比べ、ニュー・ディスコやブレイクビーツなど、緩めのビートを軸に展開される新作『TURBO TOWN』では、ギター、ヴォーカル、シンセを駆使してよりメロディー・コンシャスなアルバムに仕上がっている印象がありますね。明確なフロア・バンガーが少ない印象なので、これは結構チャレンジしてるのかなと思ったんですが、いかがですか?
JUN「確かにクラブ・コンシャスなトラックは減ってますよね」
Ali&「クラブっぽい曲で言うと、アルバムのなかだと“Mind The Gap”ですかね。今回のアルバムってコンセプトはないけどイメージがあって、そのなかにはクラブっぽい曲や4つ打ちの曲はそんなに入らない感じだった。30何年間音楽を聴いてきたんですけど、その影響を純粋な音楽の形にして作品を作りたかったんです」
JUN「だから挑戦という意識はあまりなかったですね。肩肘張らない感じとか格好つけてない感じが出ているのかもしれない」
Ali&「今回って例えばヨーロッパのクラブ・ミュージックのトレンド感であったり、自分たちが普段DJで使っているようなトラックをあまり作らなかったんですよね。世の中の流れとかじゃなくてもっと音楽的な部分で考えた作品が多いです。例えば最後の“Apollo 80”とかはワルツっぽいリズムを使ってるんですけど、こういう曲みたいにダンスフロアという場所を特に考えないで楽曲の構成をしてみたり、スウィング的な味付けを入れたりしてみてますね」
JUN「やっぱり自分たちのアイデンティティーの根っこを辿るとナマ感が多いんですよ。でも、変わってきている感じはそんなに感じないです。“Turbo Town”はロックに振り切りましたけど、それが加速するというよりは、少しエレクトロニックな方向に戻った感じがありますし。だから生音とエレクトロニックな部分が上手く融合しているというか」
Ali&「僕も音楽的な内容に関しては全然変わってない感じですけどね。例えば音色という意味では確かに変わっているかもしれないけど、ジャンルって視点であれば、いまだに俺らは変わってないし、相変わらずエレクトロって感じだと思いますよ。実際アルバムで冒険するとしたら、もっとガラッと変わってると思います」
JUN「ひたすら歪んだベースとか耳が疲れちゃいますからね。昔みたいにサウンド的に厚い音をただ出すのも飽きる」
Ali&「それは音楽的じゃないですよ。過去にもうやってるわけで」
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