インタビュー

INTERVIEW(2)――ロックの衝動



ロックの衝動



——いま音色の話が出ましたけど“Turbo Town”は生音のギターを大々的にフィーチャーした楽曲で、これまでの80KIDZの音使いからガラッと変わった印象がありましたよね。

Ali&「いろいろ言われましたけど、いいと思ってますよ。僕はいままでの曲のなかではいちばん好きかもしれない」

JUN「いろいろ調べたけどおもしろいという人もいてくれたし……」

Ali&「エゴサーチしてたんだ(笑)」

JUN「衝動で作る部分が大きかった曲ですよね。エレクトロニックな方面での初期衝動はいまはないわけで、ロックの衝動が逆に強くなった時期があってその時に作った曲だったんです。多分ライヴ・セットを〈フジロック〉でやったりしたのを経て、ギターで一発録りしたいなって思ったんです」

——80KIDZのなかのロック観ってどんな感じで形成されていったんですかね?

Ali&「反社会的だったり、既存のシステムに乗っかってないインディー感ですかね。若いインディーのバンドで格好良いのはいるけど、メジャーでやってるアーティストの方々に関してはあんまり興味を覚えない。あくまでリスナーとしてですけど。例えばKIMONOSは格好良いと思いますね。遡ったらジャスティスの“Waters Of Nazereth”、ソウルワックスの『Nite Version』、ブランキー・ジェット・シティとかキルズとか」

JUN「USオルタナやUSインディーとか好きだったので、その影響が出ていると思いますね。自分たちのルーツですから。あとストレートに衝動を表している感じ?」

Ali&「うん。あとはリズムやグルーヴとかのノリであったり、前だったり後ろや横でもぶっといものがある感じのロックが好きですね」

JUN「そうしたなかで今回のデモを作っていたんですけど、自信がなくてAli&に聴かせたら〈いい!〉って言われて進めていった感じですね。BPMも165だし、クラブ・ユースではないんですけど、海外のDJはすごいいいって言ってくれる」

——その反応の違いってなんなんでしょうね?

Ali&「やっぱりノリがあるというか、グルーヴ感があるからだと思うんですけどね。海外と国内でウケる曲って全然違うから。『Weekend Warrior』で言うと日本では“Nautilas”が鉄板だったけど、海外だと“Flow With It”で踊ったりする。これはもう文化の差だなと思いますね。向こうの人はベースが本当に好きだし」

JUN「実際には海外っぽいノリでやってる意識はないですけどね。ただ、こう音楽を日本でやる場合は、ライヴァルがあんまりいないし、少ない需要かもしれないけど支持してくれている。希少価値として見てくれてると思います」

——ちなみに最近のダンス・ミュージックのシーンに関してはどのように見てらっしゃるんでしょうか?

Ali&「おもしろいと思いますよ。DJで各地を回っても、前よりもいろんなジャンルの楽曲をフロアでかける人が増えているし、自分のバックボーンをオリジナリティーに反映させようとがんばっている人が多いですから。ただ、細分化しているのはあるかもしれないですね。あと、ダンス・ミュージックに関しては音楽的な部分以外にも遊び場的な文化もあるので、そんなに大きな変化はなくて。それが健全な部分に繋がってるんじゃないですかね」

JUN「いま細分化って出てきましたけど、むしろエレクトロ・ブームの時に一極集中していたのが変だったんじゃないですかね。いまが正常なのかも。また何かどっかのタイミングで点と点が繋がるような気がします。細分化しているいまこそクロスオーヴァーするチャンスというか」


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掲載: 2012年04月18日 18:01

更新: 2012年04月18日 18:01

インタヴュー・文/佐藤 譲