INTERVIEW(3)――偏った好みをそのまま出した
偏った好みをそのまま出した
――なるほど。お話を収録曲に戻しますね。“サヨナラマイラブ”に続いて、“Tomorrow”を4月に配信されました。この曲はmihimaru GTのhirokoさんがヴォーカルです。
「mihimaru GTはSo'Flyのライヴァル的な意識を勝手に持ってまして(笑)。hirokoさんはすごい良い歌い手さんだなと思ってたんです。mihimaruはノリの良いポップなグループっていうイメージがあるなかで、NERDHEADのアプローチも彼女に合うんじゃないかと」
――すごく音数の少ないアレンジですよね。
「hirokoさんは声だけで持っていっちゃうんですよ。とにかく声が良いので、そこを際立たせようと思ったら、すごい静かな曲になったんです」
――これまでのNERDHEADにはないサウンドだなあと。
「“2度目のi Love U”と“サヨナラマイラブ”はプロデュースものと分け隔てなく作った曲なんですけど、この“Tomorrow”と新曲の“i'm OK”はこれまでには絶対にやらなかったようなアプローチで〈これがNERDHEADなんだ〉ってことを打ち出した楽曲ですね。こういうのが最近の自分のなかのモードなんです」
――そのモードって言葉にするとどういう感じでしょうか。
「ポップなコード感で、パッド・シンセのループで持っていく。後は808(TR-808。ヒップホップで使われることの多いドラムマシーン)のドラムがシンプルに鳴ってる。
――現行のUSヒップホップのスタイルにかなり即してますね。
「ニッキー・ミナージュとかリル・ウェインとかが好きで、普段はそういうUSものしか聴かないんです。そういうアーティストたちの全部が好きなわけじゃなくて、大好きな曲が散らばってる感じ。例えばファーギーが数年前に出した“Glamorous”とか、T・ペインがリリー・アレンやウィズ・カリファとやった“5 O'clock”とかが、やっぱりシンセとドラムだけで出来た曲で……そういう曲ばっか聴いてる。その偏った好みを今回はそのまま出しちゃおうと」
――日本のポップスのなかで、ここまで音を抜いたものってそうないですよね。そこがすごくフレッシュに感じました。
「そうですよね。自分ではすごく気に入ってるんですけど、〈すごい曲が出来た!〉って聴かせても全然ノッてこないスタッフもいて(笑)。ここ数年は時代なりマーケットなりを読みつつ、その時いちばんトレンドとして出せるものをリード曲にしてたんですよ。でも今回はそういうのをナシにして、売れなくてもいいか、くらいのスタンスで珍しく無責任に作ったんです。もちろん、世の中に響くといいなと思ってるんですけど」