インタビュー

LONG REVIEW――NOKIES! 『BETWEEN THE BLINKS』



フツフツ、ユルッと、ありのまま



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センス、いい!――NOKIES!のファースト・フル・アルバム『BETWEEN THE BLINKS』を聴き終わったとき、そう思った。英詞と曲調が相まって、聴いていくうちにアメリカのハイウェイやイギリスの路地、北欧の自然が見えてくるけれど、〈あ、この音を鳴らしているのは日本人だよな〉と思い返して驚く。US/UKインディーと共鳴しながら、やっぱりビートルズが好きなんだろうなと思わせるギター・サウンドが魅力だ

アコギとハーモニカ、力強いドラミングが印象に残るフォーキーな“Hey Folks”から始まり、テクノ歌謡調のシンセが特徴のストレンジ・ポップ“One Foot On The Ground”、ブレイクビーツな打ち込みがいいスパイスになっている“All Your Trees Grow”、ストリングスを大胆に入れたミディアム“Oslo”など、全10曲。とにかくポップなメロディーと、音の抜き差しの絶妙なアレンジがいい。シンプルに聴こえるけれど、意外とウワモノの乗せ方やリズムの入り方が凝っているのだ。

ガツガツ、キメキメ、イケイケではなく、フツフツ、ユルッと、ありのままで……というスタンスに好感が持てる。世代で括るのはあまり好きじゃないけれど、これも90年代生まれのなせる技か。この一枚が邦楽ばかり聴く人には洋楽を聴く扉になればいいし、洋楽をメインで聴く人には〈日本にもこんなバンドがいるんだ!〉という発見になってくれれば……いや、このさい洋楽/邦楽は関係ないか。NOKIES!というバンドの、ナイスなメロディーと温かな音色に触れてみてほしいと思う。



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掲載: 2012年08月15日 17:59

更新: 2012年08月15日 17:59

文/福アニー