渋さ流の彩り豊かな大衆音楽たちを全曲解説!
帰ろかな
演歌の大御所、北島三郎による65年のヒット曲。“上を向いて歩こう”を生み出した作詞・永六輔、作曲・中村八大のチームによる望郷歌謡の名曲を、ファンキーなレゲエに料理したヴァージョンがアルバムの冒頭を飾る。
一週間
〈テュリャテュリャテュリャ~〉というスキャットが有名なロシア民謡。ねじり鉢巻に赤ふんどし姿でおなじみの玄界灘渡部こと渡部真一をヴォーカルに立てて、狂騒的なパーティーを繰り広げるアルバムのリード・トラック的な1曲。
恋は夢いろ
“アカシアの雨がやむとき”で知られる西田佐知子がオリジナル。シングル“夜霧のむこうに”のB面に収められていた〈ひとりGS歌謡〉を、平成のサイケ歌謡の女王・渚ようこがやさぐれた雰囲気をプンプンさせながらカッコ良く料理。
Swallowtail Butterfly~あいのうた~
映画「スワロウテイル」に登場する架空のバンド、YEN TOWN BANDのデビュー曲をインストでカヴァー。メロディーが醸し出す切なさを際立たせる滋味深い演奏は、ひたすら美しい。
黄昏のビギン
59年に発表された水原弘のヒット曲。90年代、ちあきなおみのカヴァー・ヴァージョンが映画やTVCMで使われて有名に。Sandiiの超艶かしい歌声がたまらないこのカヴァーは、ちあき版に匹敵するほどの素晴らしさだ。
RYDEEN
Yellow Magic Orchestraの代表曲であり、社会現象となったテクノ・ポップ・ブームのシンボル的名曲。ジプシー・サウンドmeetsディスコ・ミュージックといった渋さヴァージョンは、ユニークさにおいて無敵。
夢は夜ひらく
藤圭子らの歌唱で知られる昭和歌謡の逸品。のちに三上寛が怨念たっぷりに改変したヴァージョンが有名になるが、そちらを遠藤ミチロウがいっそう捨て鉢な歌唱スタイルでカヴァー。まさに絶唱。
渡
渋さ知らズのオリジナル曲で、彼らの20周年記念アルバム『渋夜旅』にも収録されている。本作のヴァージョンは坂本美雨をフィーチャー、透明感と切なさが同居した素晴らしい演奏を繰り広げている。
黒い花びら
水原弘のカンツォーネ・スタイルのヴォーカルが冴える59年の大ヒット曲。第一回レコード大賞を受賞曲として知られるこのロッカ・バラードを、フォーク界の異才、三上寛がケレン味たっぷりに歌ってみせる。
悪漢
これも渋さ知らズのオリジナル曲で、彼らのライヴではおなじみだったナンバー。歌詞を書いたのは、“渡”と同じく詩人の三角みず紀。今回の新装版では、Keycoのソウルフルなヴォーカルが光る。
Ponta De Areia
ブラジルはミナスジェライス出身のシンガー・ソングライター、ミルトン・ナシメントの名バラード。どこか日本の唱歌を思わせる旋律を、郷愁を誘うような音色で優美にカヴァーしている。
君は答えよ
寺山修司が企画、音楽をJAシーザー、ザ・ハプニングス・フォーらが担当した奇盤『薔薇門』に入っていた異色のプロテスト・ソング。激情的なギター・ロック・サウンドで仕立て上げた渋さ版もオリジナルに負けず劣らず破壊力バツグン!
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